韓国与党に支持回復の兆し、尹氏拘束失敗で保守層勢いづく
Hyunsu Yim [ソウル 9日 ロイター] - 弾劾訴追され職務停止となった韓国の尹錫悦大統領の拘束が実現せず、先行き不透明感が増していることで、尹氏の支持者が勇気づけられ、与党「国民の力」の支持に回復の兆しが見られている。 9日に発表された全国指標調査(NBS)によれば、回答者の59%が尹氏の拘束を望んでおり、37%は拘束は行き過ぎと答えた。 尹氏の弾劾訴追から数週間を経て、国民の力の支持率が回復している。一部のアナリストは、年内に大統領選が行われる可能性を見据えて保守派が団結する兆候を示していると分析している。 韓国外国語大学のメイソン・リチー教授は、「尹氏を拘束しようとしたことで、保守派が再び活気づいたようだ」と述べた。 与党の支持率回復の背景には、尹氏の戒厳令布告に賛同する岩盤支持層に加え、野党「共に民主党」の李在明代表が大統領になることを懸念する消極的な支持層の存在があるとの見方を示した。 「尹氏が拘束されていたら、保守派は弾劾訴追に続いて2度目の敗北を喫し、復活の勢いはすぐに失われていただろう。拘束の試みが失敗すればするほど、保守派は復活を強く感じるだろう」と語った。 6日に発表されたリアルメーターの世論調査によると、国民の力の支持率は34.4%で、3週連続で上昇した。一方、最大野党の共に民主党の支持率は45.2%だった。 韓国の世論調査機関の大半は、尹氏の弾劾訴追以降、同氏の支持率を公表していないが、一部の調査ではここ数日、尹氏個人の支持率が上昇している。 ユーラシア・グループの北東アジア担当シニアアナリスト、ジェレミー・チャン氏は、尹氏の拘束に向けたさらなる試みは、同氏と与党の支持を「活気づける」だけだろうと述べた。 仁川大学のイ・ジュンハン教授(政治学)は国民の力の復調について、2017年に朴槿恵元大統領が弾劾された後の選挙で保守政党が大敗した経験があるため、保守層の間で危機感が高まっているとの見方を示した。