Amazonですら原則週5日のオフィス勤務に リモートワークの終わり、デジタルの敗北なのか
Amazonが現在の週3日出社の体制をコロナ禍前の週5日出社に戻す。従業員150万人を超える巨大小売事業者の制度変更だけに業界にも少なからぬ影響を与えるだろう。また、デジタルでのコミュニケーションに限界があることも浮き彫りになった。
Amazonは2025年1月から原則週5日のオフィス勤務に戻す(関連記事:Amazon、自宅ではなく会社で仕事するよう従業員に指示)。同社は2023年5月から週3日のオフィス勤務だったが、準備期間を経て、コロナ禍前の勤務体制に戻ることになる。IT業界でもリモートワークに否定的な経営者は増えたが、コロナ禍に慣れたリモートワークを望む従業員も多い。ともあれ、Amazonの従業員数はフルタイム・パートタイム合わせて150万人を超えており、業界全体に大きなインパクトを与えるはず。これまでと同様、反対運動も起こりそう。 今回の週5日のオフィス勤務の背景についてAmazon アンディ・ジャシーCEOは「従業員同士が直接オフィスで接することで、企業文化の学習や、従業員同士のコラボレーション、ブレーンストーミングなどの効率化、チーム間のつながりの強化といったオフィス出勤のもつメリットの拡大を目的としたもの」と述べている。ただ、裏を返せばIT業界がコロナ禍で一気に売り伸ばしたデジタルツールでは、リモートワークの課題は解決できなかったわけで、これは1つの敗北と言えるのではないか。まだまだハイブリッド勤務の多い日本は、今後どうなっていくのか気になる。 文:大谷イビサ ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。 文● 大谷イビサ 編集●ASCII