【エリザベス女王杯・レース回顧】5着レガレイラは「ツキがなかった」だけなのか? スタニングローズ見えていた復調の兆し
[GⅠエリザベス女王杯=2024年11月10日(日曜)3歳上牝、京都競馬場・芝外2200メートル] 【写真】直線の勝負どころで窮屈になった〝決定的瞬間〟 【渡辺薫&柏木集保 私たちはこう見た】渡辺 スタニングローズの勝ち時計2分11秒1(良)は、このレースが京都で行われた際の最速。2年前から長いトンネルに入っていたが、これだけ見事な復活劇は珍しい。 柏木 前後半5ハロン59秒6―59秒0と大きな差がなく、息の入りづらい厳しいレースでした。クリスチャン(デムーロ)が強気で早めに行ったことで不利も受けませんでしたね。勝ち馬は2年間負けが続いたとはいえ、6着だった前走・クイーンSはわずか0秒2差で復調傾向でしたから。 渡辺 調子が上がってきたところで絶妙の騎手変更。クリスチャンは正攻法の競馬で力を出し切った。この時計で2馬身ちぎったのは完勝で実に立派だし、さすがGⅠ馬の底力だ。 柏木 順調に攻め馬を積んで体が増えていたし、体調も良かったんでしょう。鞍上もノーミスで100%の競馬でしたし、人馬ともに手放しで褒めないといけませんね。 渡辺 対して1・9倍の1番人気に推されたレガレイラは、周りを囲まれて向正面から3角の下り坂、4角まで身動きが取れなかった。そのせいで直線で内に入り、強引な競馬になってしまった(ルメールに過怠金5万円)。 柏木 若干挟まれる形にはなりましたが、スタートは悪くありませんでしたけどね。ただ、ツキがないのかなという感じはします。 渡辺 このまま力を出し切れないで終わるかもしれないな。どこかでぜひ立て直してもらいたいが…。 柏木 その通りですね。それから2着のラヴェルはテン乗りの川田騎手が気楽に乗れたのが良かったのかもしれません。気配も良好だったのでしょう。 渡辺 もともと一発がある馬だし、半姉のナミュールも昨年マイルCSに勝ってGⅠ馬になったのはこの時期だった。気温が下がるのがいいのかもしれない。 柏木 外のいいところを通りましたしね。とにかく1、2着馬はしっかりと能力を出し切りました。 渡辺 もともとGⅠ馬は2頭しかいないレースだったからなあ。時計が速かったとはいえ、レベル的にはラヴェルが突っ込んできてもおかしくはない。 柏木 3着のホールネスは人気し過ぎかと思いましたが、勝負どころで下がってから最後は盛り返してきました。 渡辺 力をつけていることを証明したな。もう少し時計がかかっていればもっと上もあったかもしれない。4着のシンリョクカ、6着のライラックはどうだ? 柏木 GⅠだともうワンパンチというか、レベル的にはこのへんでしょうね。ライラックは石川君がレガレイラをぴったりマークして上がり最速。鞍上はミスをしなかったですし、この距離が合っていると思います。 渡辺 直線で2度被害を受けたとはいえ、シンティレーション(10着)は、あまりいいところがなかったな。 柏木 鞍上のマーカンドに期待しましたが、繊細な牝馬にテン乗りは苦しかったかもしれません。それより、もう1頭の被害馬ハーパーはせっかく立て直しの一戦でしたからね。自分からやめる結果になったので、今後が気になります。 渡辺 今日のところはスタニングローズの見事な復活劇に拍手喝采というところだな。鞍上のクリスチャンは日本の競馬に慣れているし、さすがは凱旋門賞を2勝した名手。「うまい」というしかない。
東スポ競馬編集部