黒田が9年ぶり完封で巨人の勢いを止めた! 感想は「やっぱりしんどい」
マツダスタジアムで行われた広島対巨人の2回戦で、先発の黒田博樹(41)が9年ぶりとなる完封勝利を記録した。開幕から7戦6勝と調子に乗る巨人を相手に9回、4安打、4奪三振、120球の円熟のピッチング。味方打線も、田中の先制タイムリー、丸、エルドレッドの1発攻勢で3点を奪い3-0と黒田を援護した。黒田のNPBでの完封勝利は2007年6月3日の交流戦の楽天戦以来となる。
8回の裏。ツーアウトになってベンチ前にキャッチボールの準備のため黒田が姿を見せると、満員のマツダスタジアムからは、どよめきのような大歓声が沸き起きた。実に9年ぶりとなる完封勝利を目指して黒田が9回のマウンドにが上がるのだ。 球数は108球。黒田はブルペンを休ませたいと、続投を志願した。 そして、大歓声に「本当に力になる」と感謝したという。 完封、巨人戦というキーワードをたどると、昨年の痛い思い出がよみがえる。 6月30日の巨人戦で、日本球界復帰後、初めてとなる完封勝利が目前だった。だが、1-0で迎えた9回裏に1死一、三塁から阿部にツーシームを右前にはじき返された。さらに一、三塁から、亀井にレフトへサヨナラ犠飛を許して、完封勝利から一転、敗戦投手という奈落に叩きつけられたのだ。 その運命の9回は、好調の1番の長野から。ライトフライ。続く立岡はセカンドライナー。当たりはいいが運にも恵まれる。あと一人。坂本の強烈なゴロが三塁を襲う。それをルーキーの西川がジャンピングキャッチしたが、一塁へ悪送球。球場をため息が包む。バッターは、新助っ人のギャレット、メジャー時代の対戦では、打率.357、1本塁打と苦手にしている相手だ。 もう握力がなくなり、ボールのコントロールが制御できなくなっている。ファウルで粘られながらも気力を振り絞った。フルカウントから、最後は、センターフライ。記念すべき凱旋2年目にしてつかみとった9年ぶりの完封勝利、日米通算195勝目にも、精根尽き果てた黒田に笑顔はなく、本当に小さなガッツポーズを作っただけ。そして石原と抱き合い、ナインの祝福を受けると、スタンドに帽子をとって答えた。 試合後のお立ち台は、黒田、そして先制タイムリーの田中の2人である。 「最高の雰囲気のなかで、最高の結果が出てよかったと思います」が黒田の第一声、続けて「味方のね。広輔(田中)のいい守備もありました。石原のリードもあって、なんとか最後まで投げることができたと思います」と、ナインの援護を称えた。 ゼロを9個スコアボードに並べる気分は?と聞かれると、「やっぱりしんどいですね」と答え、場内の笑いを誘った。 「ずっとリリーフが連続で投げていたので、ひとりでも多く投げたいなと思っていた。結果としてこうなってよかったと思います」 笑顔をはじけた。