黒田が9年ぶり完封で巨人の勢いを止めた! 感想は「やっぱりしんどい」
スプリットが冴えた。握りを変え、落とし具合を変え、変幻自在。ツーシームが頭にある、巨人打線を円熟の投球術で手玉にとった。7回までは、わずか1安打。それでも、試練は8回に訪れた。わずか1安打に抑え込んでいたが、先頭の堂上、村田に連打を浴び無死一、二塁。畝投手コーチがマウンドに足を運び、ナインが集まるが、黒田は厳しい表情で何度もうなづいた。 「ひとつひとついくしかない」 続く小林はバントを試みてきたが、黒田は簡単にはさせない。スリーバントも失敗させ、代打・片岡を伝家の宝刀、ツーシームで、4-6-3のダブルプレー。汗だくの黒田は小さくガッツポーズをとった。 「ゲッツーも、いいリードしてくれて狙いどおりに取れたと思います」 9回、120球、4安打、4奪三振、1四球の素晴らしい内容だった。 緒方監督も黒田の完封に最高の賛辞を送る。 「黒田が一人で投げきった。見事、感動しました。黒田に尽きます。ただ一人でやったわけじゃなく、石原のリード、内野手の固い守りがあって、投手中心の勝つ野球ができた。ジャイアンツ打線は当たっていたが、今日は、ピンチと思うところはなかった。甘いボールもあったが、集中力を切らさずに最後まで投げた。若いピッチャーにいいものを見せてくれた、この後から投げるピッチャーも、その姿から勇気をもらってがんばってもらいたい」 マエケンが抜け、大瀬良が故障で、岡田、横山というルーキー2人をローテーに入れる苦しい投手事情を救ってくれた黒田が、今後、チームに与える波及効果は、計り知れない。連戦の中、中継ぎを使ってきただけにブルペンを休ませたことも大きかった。 「今後も、目の前の一戦、一戦を精一杯戦っていくだけです。その結果、最後、一番上にいればいいなと思います」 勢いに乗る巨人を止めた黒田は、そう前を向いて語った。