学校の先生“時給200円”も?…部活顧問の勤務実態は【#みんなのギモン】
■部活顧問の負担は時間だけではない…
小野解説委員 「そして先生方の負担と言えば、お金の自腹もあります。さきほどの教員Aさんによると遠方、たとえば県をまたいで試合がある場合、時間に間に合わせるため、高速道路を使わざるを得ない場合がある。でも高速代は出ない。だから自腹なんです」 「また、交通費は支給されるが、1キロあたり10円ほどと(学校のルールで)決まっていて、結局それでは足りなくて自腹を強いられてしまう」 「また顧問になると、審判の資格を取得するのにお金がかかる。自分のラケットやテニスウエア、こうしたものに学校からお金は出ないので自腹だという」
■学校教員『自腹の経験あり』約8割
小野解説委員 「こんな調査も。全国の小中学校の教員の自腹の実情を専門家が調査しました(2022年度 1034人回答)」 「2022年度の1年間で、8割近くの教員が『自腹の経験』があるそうです。どんな時に自腹だったか、5人に1人は部活動で自腹をきった…」 「調査した千葉工業大学教育センターの福嶋尚子准教授は『多くの学校で教員が部活動に参加することが当たり前になっている。教員が自腹をきらなければいけない理由は、授業と違って、部活動には学校側からほとんどお金がでない。望まない経済的負担が起こっているのが現状』ということです」 鈴江アナウンサー 「子どもたちがいろんな意味で育まれる素晴らしい部活動ですが、先生たちの犠牲の上に成り立っているというのが大きな課題ですよね」 小野解説委員 「どうすればいいか。2つめのポイント『負担減らすには?プロに委託も』。先生の負担を軽くしようと、外部の人材に部活動の指導を委託する動きが出ています。その学校を訪ねてみました」 ◇ 小野解説委員 「訪ねたのは東京・杉並区の区立小中一貫の学校です。体育館では、バスケットボール部が練習中でした。バスケ部の生徒の数多い。人気なんです。指導していたのは1人の女性」 コーチ 「いくよー!ディフェンス見てよー!」 小野解説委員 「女性はバスケットボール部コーチです。実は元プロのプレーヤーで、引退して今コーチとしていろいろな学校などで指導しています。区の予算で業者に部活動の管理を委託しています。業者と契約した外部コーチが学校に派遣される。学校側は業者、コーチとしっかり情報共有をしながら安全管理や試合の引率も、基本的に委託している」 バスケ部員 「ドリブル1つ1つ無駄がなくて、見るだけでお手本になる」 元プロバスケ選手 森本由樹 外部コーチ 「子どもたちの良さも引き出しつつ、ベース(基礎)のところはしっかりと伝えてあげたいなと思います」 小野解説委員 「一方で、学校側のバスケ部の顧問の教員はその頃、教室にいました」 小野解説委員 「今は何をしている?」 バスケ部顧問 伊庭義人 指導教諭 「あしたの国語と数学の教材の準備をしています」 小野解説委員 「以前部活に立ち会っていた時と比べて、今は何が変わっていますか?」 バスケ部顧問 伊庭義人 指導教諭 「(以前、帰宅時間が)午後9時の時もありました。現在は午後4時45分定時で帰れる日もありまして、自分の趣味にあてたり家庭のことをやったりする時間に使えています」 ◇ 小野解説委員 「外部委託の制度には、自治体側が国に申請すればお金の補助は出るが、ごくわずかしか出ない。そのぶん自治体が負担しなければいけない。お金のない自治体が多いなかで部活の外部委託は、全国ではほとんど進んでいないというのが現状です」 小野解説委員 「根底にあるのは、教員不足。来年度には教員の数、およそ7700人増やすことを文科省は目標にしているが、それだけのなり手が本当に確保できるのか。教員の待遇改善、必要です」 (10月18日『news every.』#みんなのギモンより)
【みんなのギモン】 身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)