切れ味抜群で強くてしなやか! これぞ名刀!! これがフェラーリ296GTSに乗ったモータージャーナリストの本音だ!!
3リッター120°V6ツインターボをいちから起こすなんてフェラーリはやっぱり凄い!
V8ミドシップ・シリーズに代わるPHEVの新世代モデル、296のスパイダー版、296GTSに乗った渡辺慎太郎さん、高平高輝さんの本音とは? 今年もやりました「エンジン・ガイシャ大試乗会」。2024年、大磯大駐車場に集めた注目の輸入車36台にモータージャーナリスト36人が試乗! 【写真19枚】まるでF1マシンのステアリング すべての操作をハンドルから手を離さず行う296GTSの詳細画像を見る ◆「手に余る戦闘力」渡辺慎太郎 今回は奇しくもアルトゥーラとこの296GTSが割り当てられた。いずれもバンク角120度のV6とモーターを組み合わせたPHEVのミドシップスポーツカーである。駆動用バッテリーの容量もほぼ同じ。妥協なく突き詰めていくと、辿り着く先は一緒なのかと思ったりもする。 いっぽうで、両極端に位置する部分もある。例えばステアリング。アルトゥーラのそれはスイッチ類が一切装着されていない。天晴れな潔さである。 296GTSはウインカーまで組み込み、とにかくスイッチだらけである。どちらがいいとかではなく、ここにマクラーレンとフェラーリというスポーツカーメーカーの思想が透けて見える。 回しやすさと運転への集中にこだわったマクラーレンに対し、F1のステアリングを想起させる機能性を追求したフェラーリ。 GTSなのでせっかくだからルーフも開け放ってみた。ボディの剛性感に不足はまったくなく、おそらくこちらをデフォルトとし、クローズ状態では少し剛性過多になるようなボディ設計をしたのではないかと想像した。アセットフィオラノは、自分ごときにはやや手に余る戦闘力だった。 ◆「フェラーリにしかできない」高平高輝 ステアリングに一切のスイッチを付けないのがマクラーレン流だとしたら、最初から最後までステアリングを握ったままで操作できるのがフェラーリ、いやF1流というべきか。 無数のモード切り替えスイッチだけでなく(それにしてもちょっと煩雑ではないか)、今や始動ボタンさえスポーク上のタッチ・スイッチに置き換えられているのだから、かつてステアリングやペダルの位置関係が不自然とこぼしていた昭和オヤジは、ずいぶん遠くにきたもんだ、と感慨にふけること暫し。 これまでのV8ミドシップ・シリーズに代わるPHEVの新世代モデルが296、GTSは巧妙なリトラクタブル・ハードトップを備えたスパイダー版である。 時代の要求とはいえ、モーターと電池の搭載を考慮してコンパクトさを重視した3リッター120°V6ツインターボをいちから起こすなんてフェラーリにしかできない芸当だ。 296GTBはF8トリブートより140kg、このGTSはさらに70kg重いというが、システム最高出力830psは伊達ではなく0-100km/h2.9秒と不変。 そしてもちろん切れ味抜群、しかも強さとしなやかさも併せ持つ名刀である。 写真=小林俊樹(メイン)/茂呂幸正(サブ) (ENGINE2024年4月号)
ENGINE編集部