これがレクサスってマジ!? まったく「らしくない」レクサス・ランドーというコンセプトカーの正体とは
●スピンドルグリルのないレクサスもあり得た?
その後、レクサスは独自のデザインフィロソフィ「L-finesse」を打ち出し、日本的なアプローチとして繊細さを極めて行きます。さらに、海外市場でライバルに埋もれない個性を目指し、2012年の4代目GSからはご存じスピンドルグリルを提示。そうして最新作のLMに至るまで、より繊細に、よりシャープに、そして強い押し出しに邁進中です。 そこで思うのは、「もしレクサスがランドーの方向でデザインを進めていたらどうなったのか?」という疑問。 その大きなヒントが、1990年代後半にイタルデザインが手がけたマセラティの3200GTやブガッティのEB118などにあると筆者は想像します。いずれも流麗なボディのなかに楕円の要素を織り交ぜたスタイリングはエレガントそのもので、その上質感は圧倒的。もしかしたら、これがもうひとつのレクサスの歩む道だったのでは? 恐らく、初代GS(アリスト)をイタルデザインが手がけた縁からランドーの企画が持ち上がったのかもしれません。そのあたり、当時の状況は知る由もありませんが、ほとんどのクルマ好きの記憶にすら残らなかったこの企画には、じつは極めて大きな可能性があったかもしれないのです。
すぎもと たかよし