石破新政権は「シルバー・デモクラシー」 テレビの前で熱狂していたのは「50代以上の男性」だった
「テレネット政治」が残した課題は?
現代政治は、テレビとSNSを存分に駆使する「テレネット政治」と言われる。 総裁選を通じ、ネット、とりわけ若い有権者向けへのアピールの場であるSNSはどうだったのか。 候補者9名のInstagramを見ると、ソフトな内容が目に付いた。各候補とも、選挙運動の様子を写真や動画でアップするのが主。中には、「鉄道模型」を見せたり(石破総理)、「たわし頭」と言われるヘアスタイルをセットする動画を上げたり(加藤勝信氏)と、面白おかしいコンテンツも投下された。 SNSでの政策や選挙発信戦略に詳しい専門家、鍛地あさ子氏は手厳しい。 「各候補ともウケを狙うような軽い動画や人物紹介が主流だった。しかしSNSは本来、政策をわかりやすく伝えたり、若者と候補者を本当の意味でつなぐ民主主義を変える道具になると思っています。政治家は若者にウケることを狙うのではなく、自らの政策をわかりやすく伝えることにも有益にSNSを活用してほしい」 本質的な発信がなされなければ、結局は若者の政治不信は拭えず、高齢者ばかりが関心を持つ投票行動は変わらない。その結果、高齢者の主張ばかりが反映されていくことになれば、まさに「シルバー・デモクラシー」である。政治家が若者を置き去りにしている実態は、まさに日本にとっての危機である。 多角一丸(たかく・いちまる) 元テレビ局プロデューサー、ジャーナリスト デイリー新潮編集部
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