「日本初」乳酸菌図鑑を完成させた女子小学生、将来の夢は研究者 コロナ禍のおうち時間がきっかけ
滋賀県栗東市の小学生、清水結香さん(10)は、日本初の「乳酸菌図鑑」を完成させ、第64回自然科学観察コンクール小学生の部で文部科学大臣賞を受賞した。きっかけは、新型コロナウイルス禍でのおうち時間で見た、体内細胞を擬人化させたアニメ「はたらく細胞」だった。 最初は「健康に良い菌というイメージ」だった。「乳酸菌のキャラクターが、がん細胞を攻撃するNK細胞を活性化させていて、なんでだろうと思って研究を始めた」と振り返る。 観察には学校にある400倍の顕微鏡を使用。乳酸菌の培養は、県の伝統食ふなずしから分離した約200種類のサンプルを「しがきん」と名付け、温度管理された培地で増殖させる手法を用いた。 最も苦労したのは菌の同定作業だった。「図鑑があればそっくりな菌が分かるけど、そもそも図鑑がなかった」。大手食品メーカーの研究所や大学教授に自ら手紙を送り、両者の協力の下、DNAデータベースを使い、菌の同定作業に取り組んだ。 図鑑は全87ページで、顕微鏡写真を用いながら、5種類の乳酸菌の形態や特性を詳しく解説した。「『1年で5株増やしていこう』とか目標を決めて続編をたくさん出して、いつかは本物の図鑑を出版したい」と意気込む。 将来の夢は研究者で、抗生物質と乳酸菌が共存できる新薬の開発をすること。親族をがんで亡くした経験から、「がんになっても風邪ぐらいで済むような薬を作りたい」と夢を膨らませる。