ビットコイン、5万8000ドル割れ──FRBの金利引き下げ幅予想も割れる
「FRBの会合を、市場が最大の不確実性で迎えることは珍しい」と、Bannockburn Global Forexのチーフマーケットストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は述べた。 今週は、FRB(連邦準備制度理事会)による金利引き下げについて市場が推測をめぐらせる、珍しい週となりそうだ。また、金利にまつわる不確実性は、ビットコイン(BTC)の上昇にブレーキをかけたようだ。 FRBは今週18日、金利引き下げを発表し、いわゆる緩和サイクルを開始すると予想されている。緩和サイクルは過去、ビットコインを含むリスク資産を支えてきた。 しかし、トレーダーの間では、利下げ幅について意見が割れており、18日の金利決定後、金融市場でボラティリティが上昇する可能性を示している。当記事執筆時点、フェデラル・ファンド(FF)先物市場では、FRBが25bpsの利下げを行い、金利を5%~5.25%の範囲に引き下げる可能性は50%と示されていた。同時に、50bpsの大幅な利下げが行われ、金利が4.7%~5%の範囲になる可能性も50%となっている。 ビットコインは、直近の安値である5万2530ドルから上昇していたが、利下げにまつわる不透明感から上昇の勢いは止まった。当記事執筆時点、ビットコインは6万660ドルから5万8700ドルまで下落している(日本時間17日5時30分時点には、5万7945ドル)。
「50bpsの利下げはパニックのシグナル」
「FRBの会合を、市場が最大の不確実性で迎えることは珍しい」と、Bannockburn Global Forexのチーフマーケットストラテジストで、『Making Sense of the Dollar』の著者、マーク・チャンドラー(Marc Chandler)氏は米CoinDeskにメールで述べた。 「50bpsの利下げは、FRBが経済により懸念を抱いており、7月に利下げすべきだったと認めているように思えることから、リスク資産にとって良いものではないだろう」と同氏は付け加えた。 複数のアナリストは、50bpsの利下げはパニックのシグナルとなり、暗号資産を含むリスク資産の需要を損なう可能性があると警告している。先週、ウォール・ストリート・ジャーナルのニック・ティミラオス(Nick Timiraos)氏が、利下げ幅が議論となっているという記事を掲載したことで、50bpsの利下げの可能性が高まった。また、FRB関係者数名も、より大幅な利下げの可能性を示唆し、リスク資産に明るい兆しをもたらした。 「市場は25bpsの利下げという予想で落ち着いていたが、50bpsの利下げを再び検討するようにFRB関係者が仕向けたと疑うものもいる記事が出た。市場はこれに反応し、年内の残り3回の会合で、0.5%利下げが1回のみではなく2回、0.25%利下げが1回の可能性が高まった」とチャンドラー氏は述べた。また、トレーダーはFRBの経済および金利予測の概要にも注目すべきと付け加えた。 「市場は今、来年末までにFF金利の目標値が3%を下回ると予想している。また、7月の失業率は4.3%(8月は4.2%)と、FRBが想定する長期均衡失業率に達している。これは変更されるだろうか?」とチャンドラー氏は述べた。 |翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部|画像:ワシントンDCにあるFRB本部ビル (Jesse Hamilton/CoinDesk)|原文:Bitcoin Slips to $58K as Fed Faces Split Rate Cut Expectations
CoinDesk Japan 編集部