災害被害を受けた鉄道、廃線と復旧の分かれ目は?
■赤字でも唯一無二の交通インフラなら復旧 いずれにしても、地方では鉄道が儲けて経営を成り立たせるのは難しくなっている。そうした地方の赤字ローカル線ほど、災害を受ければ「廃止」が取りざたされる。莫大な復旧費用に対し、運行による収入が乏しいためだ。そこで、「鉄道軌道整備法」では、国がこうした被害にあった鉄道事業者に復旧の補助をする定めがある。同法の施行規則には、補助をするかどうかの目安が示されている。それによると、第一に掲げられるのは「民生の安定上、必要」という項目だ。元が取れるかどうか?といった単純な「ソロバン勘定」では決められないわけだ。 とすると、たとえ「儲からない路線」であっても、例えばその鉄道と並行する道路がなく、地域にとって唯一無二の交通インフラであるといった事情があるなら、国が存続のために復旧を後押しする公算が大きい。ただ、地方では道路の整備は進み、車の普及も進んでいる。過疎地の人口も減っている。その大義名分は成り立ちにくくなりつつある。しかも、鉄道よりもバスを運行すればはるかに安上がりだ。国や鉄道事業者が、本音では「廃止してもよいのでは」と思っている鉄道路線は少なくないとみられる。 ■廃線を免れるには地元住民、自治体の熱意 であれば、もし仮に、災害で採算性の乏しい鉄道が被害を受けた場合、廃線を押しとどめることができるのは、地元自治体と住民しかいない。鉄道は、公共的な色合いが濃い。山口県のJR美祢線のケースのように、県や市町村と地元住民がどれだけ熱意を示せるか?全面バックアップの姿勢を示せるか?が、復旧か廃線かの分かれ目になるといえそうだ。 ※(参考)読売新聞2013年12月1日記事 (文責・坂本宗之祐)