「政治版クラウドファンディング」とは? 若者を政治とつなぐことができるか
国会議員や地方議員向けに特化した「政治版クラウドファンディング」が先月スタートしました。個人向けのクラウドファンディングサイト「シューティングスター」を運営するJGマーケティングと、議員インターンシップを手掛けるNOP法人ドットジェイピーの協働サービス。政治家の活動を支援するほか、ネットを通じて若い世代が政治に関心をもつきっかけになることが期待されています。2月の東京都知事選では、会社経営者の家入一真氏が日本で初めてクラウドファンディングを活用して選挙で立候補。結果、目標金額500万円を上回る約744万円の資金調達に成功しました。 クラウドファンディングは近年、日本でも広まりつつありますが、そもそもどのような仕組みなのでしょうか。また、いわゆる「献金」とはどのような違いがあるのでしょうか。改めておさらいしてみましょう。
クラウドファンディングって?
クラウドファンディングは、インターネットを通じてそのプロジェクトに賛同する群衆(クラウド=不特定多数の人々)から小口の資金を募る資金調達方法です。少額から支援できるため、出資者のリスクが小さいながらも、全体としては大きな額を集められる可能性があります。プロジェクトには目標金額が設定され、それを超える金額が集まると支援金が決済され、実際にプロジェクトが始動するという流れです。 起源は諸説ありますが、主に資金力のないアーティストがライブツアーを行うためだったり、賛同者を募って1つの映画を完成させるための資金集めだったりと、その黎明期は文化的な活動でクラウドファンディングを活用するケースが目立ったようです。 クラウドファンディングを分類すると、大きく3つに分けられます。 ■寄付型 ・資金提供者に見返りがなく、資金を寄付として提供 ■購入型 ・資金提供者に対して、製品やサービスなど、特典を用意 ■投資型 ・出資額に応じ、収益の一部を資金提供者に分配
寄付や献金とは違うの?
政治資金規正法では、政治家個人への政治活動に対する金銭の寄付は、原則禁止されています(年間150万円までの物品は可能、ただし選挙運動に関するものは金銭も可能)。 今回サービスがスタートした政治版クラウドファンディングは、金額に応じてステッカーやTシャツなどがもらえるほか、議員との会食ができるなどの特典がつく「購入型」の形式を採用。資金提供者と議員らとの売買契約になり、政治資金規正法でいう献金ではないため法律には抵触しないという立て付けです。また、集めたお金は情報公開や政策調査など、プロジェクト内容に応じて使用されるため、従来の献金に比べて使途がクリアになっているのが大きな特徴です。 ただし、「地域イベント」などで利益供与とみなされるプロジェクトなどは、法律違反となる可能性があるため立ち上げることができないようです。