スフィア、petit milady、DIALOGUE+......2024年声優ユニットシーン“節目”の動きを振り返る
サンドリオン、Kleissis、ギルドロップス......活動にピリオドを打ったユニットも
そうしたユニットが活躍する一方で、2024年は惜しまれつつ活動にピリオドを打つユニットも多かったように思う。そのうちとりわけ衝撃的だったのは、サンドリオンの解散発表だったのではないだろうか。長年インディーズで音源をリリースし続け、2023年に念願のメジャーデビューを果たし、初の東名阪ツアーも開催した彼女たち。今年も5月に3rdシングルをリリースし、誰もがさらなる活躍を信じて疑わないであろう中での解散発表には本当に驚かされた。最新シングル『Sunny Canvas』でも、サウンドのポップさを活かしながら長年の活動に裏打ちされた美しいハーモニーで楽曲を彩り、ソロパートでも各々の個性をしっかり立たせていた。だからこそ、これが最後のシングルというのが残念でならない。 その他にもKleissisやギルドロップス、(作品発ではあるが)SPR5といった様々なユニットが一区切りを迎えた2024年。いずれも残念であり悲しいことだが、そのうち明確な区切りをつけられるユニットが増えたことだけはプラスに考えてもよいのではないだろうか。なぜなら、かつての声優ユニットシーンには徐々に活動が減って自然消滅していくユニットが多かったから。SNSでファンとの距離が縮まり、何も言わないまま活動のない状況を続けることに違和感が生まれるという時代環境も影響してはいるだろうが、それでも「ありがとう」と「さようなら」を伝え合える場が設けられることは、歓迎してもよいように思う。 2025年も多くの声優がユニット活動を通じて多彩な表現で私たちを楽しませ、活躍していくことだろう。3年ぶりにニューシングル『リミー』のリリースを発表したぽかぽかイオンの再始動など、すでに具体的な活動が発表されたユニットもあれば、たとえば10周年を迎えるイヤホンズをはじめ、節目に合わせた動きを楽しみにしたいユニットもいる。加えて、コロナ禍の落ち着きを受けた、新たな世代の勃興にも期待したいところ。2020年代が後半に入る2025年、今年からの勢いを持ち越すユニットからニューカマーまで、個性あふれる声優ユニットがシーンをよりいっそう鮮やかに彩ってくれることを期待したい。
須永兼次