社会人向けに宇宙教育…背景に“人材不足”「宇宙の敷居を下げる」大学・企業の連携でSTEM分野の魅力発信へ
宇宙ビジネス“製造業の再成長”にも期待
「Live News α」では、山田進太郎D&I財団COOの石倉秀明さんに話を聞いた。 堤礼実キャスター: 宇宙ビジネスに関する取り組みが活発になっていますね。 山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明さん: 宇宙ビジネスが活発になっていくことは、さまざまな観点で日本にとって重要だと思います。 一つはもちろん産業の観点です。宇宙ビジネス、特にロケットなどは「製造業の総合格闘技」と呼ばれていて、日本が自動車産業で培ってきたサプライチェーンをふんだんに活かせる領域なんです。 安全保障上、輸入に頼りにくい部品や工程もあるので、国内にサプライチェーンを持っているのは非常に強いことです。今後、宇宙ビジネスがまた製造業を再成長させていくのに役立つのではないでしょうか。 堤キャスター: もう一つはなんでしょうか。 山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明さん: もう一つは、人材育成の観点です。今、文科省は理系人材の育成を一丁目一番地に置いていて、理系学部の定員を2027年まで大幅に増やしていくような動きがあります。 実際に少しずつ理系比率は増えているのですが、OECDなどに比べるとそのペースは緩やかでもあります。また理系の中でも、医学部や薬学部などの資格が取れる系ではなく、STEM分野、つまり理工学部志望はもっと増えていく必要があるんです。
大学×企業でキャリアイメージ湧きやすく
堤キャスター: そのためには、何が必要になってきますか。 山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明さん: 日本は男女ともに15歳時点で数学・理科の学力は世界トップクラスなんです。つまり、学力以外の要素が重要だが、一つはやはり理系分野・STEM分野に興味を持ってもらい、目指したいと思ってもらうことです。 財団の仕事でも、STEM分野の仕事体験ができるプログラムを提供しているんですが、実際に働いてる人の話を聞いたりするだけでも、理系を身近に思ったり、楽しそうと思う人が10~15ポイントほど増えたりもします。 堤キャスター: 若い人たちに、身近に感じてもらうことが大事なんですね。 山田進太郎D&I財団COO・石倉秀明さん: 宇宙分野で働く人は身近になかなかいないので、イメージしにくいと思います。だからこそ、大学と企業が手を組んで、宇宙分野の面白さ、そこに進んだときのキャリアなどがイメージできるようにしていくメリットは大きいのではないでしょうか。 今後は1社だけではなく、どの大学や会社も当たり前にそのようなアウトリーチ、つまり、外部への発信を積極的にやっていく取り組みが増えていくといいなと思います。 堤キャスター: 私もこのセミナーの場にいたのですが、いかに宇宙に関心を持つきっかけを作るのかという課題を感じました。宇宙と聞くとどこか難しく感じてしまいますが、実際は私たちの生活の延長線上にあるものです。未来へのカギを握る宇宙を、私たちはもっと身近なものとして捉えても良いのかもしれませんね。 (「Live News α」11月25日放送分より)
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