第10回ふくしま産業賞 晴れの受賞企業・団体 福島民報社賞 藤寿産業(福島県郡山市) 県産木材価値高める
福島県産木材を地域資源と捉え、技術革新を重ねて高品質な木製品を供給している。国内有数の集成材工場で生み出す製品は各方面で評価され、県産材のブランド力向上に貢献している。 東京大や東北大、日大工学部の専門家と連携し、強度や耐火性に優れた集成材の製品化に挑戦してきた。東京都のJR山手線の高輪ゲートウェイ駅や2025(令和7)年大阪・関西万博のシンボルとなる世界最大級の木造の大屋根(リング)に採用された。都心で国内最高層の木造ビルの建築にも取り入れられた。 2019年の台風19号に伴う阿武隈川の決壊で工場が浸水したが、社員一丸となって1年後に本格復旧を果たした。県内の林業再生に力を入れ、浪江町の「福島高度集成材製造センター(FLAM=エフラム)」を運営する企業体「ウッドコア」に参画。製造技術を集成材の生産に生かし、約40人の地元雇用を生み出している。 脱炭素化につながる木造建築は国内外で期待されている。炭素を長期固定でき、伐採後に植樹して森林の新陳代謝を促せば、二酸化炭素の吸収力は高まる。西村義一社長(62)は「県産材の可能性を発信し、林業の振興に努めたい」と意欲を語った。
◇ ◇ 藤寿産業は第4回ふくしま産業賞で金賞を受けた。 ■メモ ▽設立=1975(昭和50)年 ▽社長=西村義一 ▽従業員数=70人 ▽住所=郡山市田村町上行合字西川原35 ▽電話番号=024(944)7550