「表現の不自由展」中止問題 津田大介氏が会見(全文2)政治家の圧力が原因ではない
電凸に対して非常に脆弱
まず今回の中止が検閲だったか否か。政治家から具体的に内容への介入、発言、それをあおるようなものがたくさんありました。これが中止の原因だったかということ。これについては大村知事も僕も記者会見ですでに述べていますけれども、政治家の圧力が原因ではありません。事務局の機能がまひしたこと、そしてまたテロの脅迫に直面した、直面したことによって職員のストレスも非常に大きくなったこと、このままでは円滑な運営ができなかったというところでの苦渋の決断です。 そしてもう1つは、これはつまりテロ予告に屈したのかという論点もあると思います。もう1つは、今回明らかになったことは、電凸と言われているような、こういった電話による組織的な、マニュアルを使った組織的な攻撃。これに対して行政機関が、これが非常に脆弱であることでもあると思います。集団で抗議マニュアルが共有されて、ネットで共有されて多方面に拡散されていました。 そしてもう1つ、公金の使い道ということも大きな論点になっています。行政の文化事業における中立性とは何かということだと思います。今回の「平和の少女像」、あるいは大浦信行さんの映像作品がこの公金を使う内容として適切だったかという話もあります。他方で、2017年にできた文化芸術基本法の基本理念で、政治が行政の文化事業の内容には介入すべきではないというようなことが書かれています。この点では、一部の政治家の発言はこれを踏み越えたものではないかと僕は考えています。 他方でこの企画の進め方、情報公開、ガバナンスの問題も指摘されています。物議を醸す企画だったからこそ事前に告知をして、十分に議論をして進めるべきだったのではないかという指摘もあります。私からは以上です。これより質問に答えたいと思います。
電話による組織的な攻撃とはどういうものか
司会:これから質疑応答の時間になりますが、まずは緑の名札を付けている【ワーキングフェース 00:34:17】の皆さんからの質問が先になります。1つ最初に司会のほうから質問させていただくんですけれど、スピーチの中で抗議のマニュアルが拡散されていたという話があったんですけれども、それはどこからどういう方法で発信されたものなのか、もしご存じであればお願いします。 津田:これは幾つかあります。まずこれ、地方の議員で、ブログでの発信をしている方がこのように抗議をしよう、あるいは協賛企業にこのように抗議をしようということをテンプレートで公開しています。あとはTwitterでも、このように抗議をしよう、電話番号はここだ、こういうことがポイントだということを拡散する動きが組織的に見られました。 あともう1つは、これは電話を受けていた職員から聞いた話ですけれども、さまざまな抗議をしているんだけれども、結構、電話口のほうで紙をめくっている音がした。紙をめくってかなり長くいろんなことを細かく質問してくる。その内容が非常に、どれも似通っていたという話は聞いています。 最後にもう1つ。これは今回のトリエンナーレの会場を貸してくれた民間の場所があるんですけれども、ここにも抗議の電話が、かなり強い調子の抗議の電話が掛かってきました。うちは場所を貸してるだけで、その電話を受けた側が、うちは場所を貸してるだけで内容については全然関知していないというふうに答えたそうです。そう答えたら、その電話口の方が、そうか、それだったら組織的におまえのところに電話するのはやめてやるわというような、そういった発言も見られたそうです。 もちろん、これ全てが組織的に行われた抗議だとは思っていません。企画の内容を、あるいは報道で知った個人の方が憤って抗議の電話をかけているという場合もあるでしょう。ただ、この組織的な電話抗議、あるいは個人での憤りによる電話抗議の割合とかは分からないですけれども、ただ、さまざまなことを見ていくと、組織的にこういった抗議をしようというような痕跡が見られることは事実です。 司会:まずお名前と所属のほうからお願いします。