<アメリカンフットボール>学生は社会人に勝てないのか
元関学QBで現在アサヒビールシルバースターでコーチをしている有馬隼人さんは、こんな考えだ。 「学生に勝てるチャンスはあると思います。ただ、今日は、オービッグの両DEの外国人選手を抑えるため、関学は人数をかけねばならず、なかなかオフェンスのコントロールが難しかった。そう考えるとフェアではありません。またオービックは、連覇しながらライスボウルのノウハウを身に付けていました。しかし、今後は、何をやってくるかわからないという学生のスタイルに戸惑う社会人のチームは出てくるだろうし、学生の良さがライスボウルでは出てくるとは思います。今後のライスボウルは、そういう外国人選手の問題も含めて議論は必要でしょう。私は個人的には、甲子園ボウルを関西学生優勝決定戦にして、正月の東京ドームを東西学生日本一決定戦にすればいいと考えますが、社会人選手の中には、ライスボウルを経験していない選手が多く、学生だけではなく、彼らにもライスボウル出場はモチベーションにはなっています。難しい問題ですが、いろんな議論は必要だと思いますね」 確かにライスボウルの運営形態に関しては賛否両論はある。外国人選手の出場に関しては制限を付けるなどの配慮があってもいいのかもしれない。 父でもある監督を胴上げするという夢の叶わなかった鳥内は、こんなことを言っていた。 「個人の能力や基礎技術は社会人とは大きく違っています。でも社会人のクラブチームは練習量という点では限られています。学生はたっぷり時間がありますから、準備はできます。チーム力、組織力という点を磨けば、永遠に倒せないことがないと思うんです」 関学にはQBの斉藤、WRの木戸、大園、RBの鷺野ら3年生が多く残っている。ライスボウルを語る前に、関西リーグ、甲子園ボウルという大きな壁を乗り越えなければならないが、4年越しのリベンジを果たすべき土壌は揃っている。 「こんな思いはもうしたくない。これから1年、本気でフットボールに取り組んで距離を縮めたい。個人能力では太刀打ちできなくともプレッシャーの中、ノーミスでプレーできれば、組織の力で勝てると思う」 QBの斉藤は、そう決意して大粒の涙を流していた。発表された観客数は29564人。東京ドームは満員であった。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)