<アメリカンフットボール>学生は社会人に勝てないのか
予期せぬアクシデントもあった。有楽町で起きた火事騒ぎで新幹線がストップ。当日移動する予定だったキッキングチームのレギュラー4人を含む選手10人と、サポートスタッフなど約80人が試合開始に間に合わなかった。急遽、マネジャーが関東在住の関学OBに連絡をとって、30人ほどのOBが駆けつけて、試合中のスカウティングや水配りなどの裏方仕事を手伝った。遅れたメンバーは、試合開始1時間後に到着したが、チームに与えた精神的な打撃も少なくはなかった。オービックの大橋ヘッドコーチは「力の差はない。厳しい戦いだった」と関学に敬意を表していたが、これで3連敗。 ここ10年で、学生が社会人に勝ったのは、2009年に立命大が、パナソニック電工インパルスに17-13で辛勝した試合だけだ。やはり学生は社会人に勝てないのか。社会人と学生の実力差を問題視して日本選手権のシステムが大きく改革されたラグビーのように、アメフットの日本一決定戦、ライスボウルのあり方も、根本から見直して議論しなければならないのか。 NFL欧州でプレー経験もある元アサヒ飲料のRB、中村多聞さんに意見を聞いてみた。 「僕は学生が社会人に勝つ可能性は十分にあると考えています。学生はどうしてもプレーに持続性がない。粘りがない。学生だと1発、2発プレーを決めると、そこで勝負を決定づけられますが、社会人となると、それでは勝てません。体力はあるんですから、どれだけ丁寧に緊張感を継続してプレーできるかというメンタルタフネスの部分を鍛えることでしょう。それと社会人の個人能力に対抗できるスーパーなプレーヤーが4人は欲しい。今日の関学で社会人に対抗できる力のあるプレーヤーは、DL、LB、DBの3人ほどしか目につきませんでした。それ以上の選手が攻撃、守備にぞれぞれ2人揃ったときには社会人に外国人選手がいても勝てる可能性はあると思います。学生にとってライスボウルはモチベーションを持てる試合ですし、社会人にも負けられるというプレッシャーがかかります。僕はライスボウルはアメフット界にとって必要な試合だと考えています」