いまの岸田政権に「セキュリティ・クリアランス制度」と「能動的サイバー防御」についての法案を通すことは難しい 通常国会1月26日召集へ
政治的ポイントを減らす覚悟がなければ通せない法律 ~減らすポイントがない岸田政権がこの法案に踏み込めるのか
飯田)この手の与野党対立法案は、政治的なコストが掛かりますよね? 神保)安倍政権時における特定秘密保護法も、同じような性質を持った法律でした。当時も大きく支持率を減らす、「政治的ポイントを減少させる覚悟を持ってやらなければいけない」という法律だったと思います。ところが、いまの岸田政権は「減らすポイント」さえない状況なので、本当にこういう法案に踏み込めるのかという問題はあると思います。 飯田)他方、外務大臣の期間が長かった岸田総理からすると、法案の必要性を痛いほどわかっているところはあるでしょうね。 神保)総理・官房長官の両方とも外務大臣経験が長いですよね。 飯田)林芳正官房長官もそうですね。 神保)この2人の外政案件に対する感度は、相当高いと思います。
「マイナス圏内」に入る覚悟で法案を通す方向にいけるのか
神保)内政を見ると、政治的な資産としてのポイント数が足りなくなっている。これは大きいですよね。 飯田)腹をくくって突入できるのか。 神保)冗談めかして言うと、「マイナス圏内にいよいよ突入か」というような気概を持ってやらないと、なかなか扱えない法案だと思います。 飯田)来年の通常国会までにどうなっているのか……。総理周辺などでは、「経済はよくなっていくだろうから、少しは回復するだろう」という話も聞きますが。 神保)でも、永田町の見通しはズレていることが多いですよね。今回、安倍派が次々に閣僚を辞任し、「それによって国民の支持が回復する」という見通しを述べる方もいましたが、普通に考えれば、あり得ない話だと思うのです。そういう見通しの甘さと妙な楽観主義が、支持率のわりには危機感が薄い状況につながっているような気がします。
各国、G20を盛り上げるモードにはならない
飯田)外交にも既に影響が出ていて、来月(2024年1月)に予定されていた南米歴訪が見送りになるという話が出ています。 神保)外交日程にも影響が出そうだし、特に南米は移動に時間が掛かります。「それほど長期間、国内を空ける余裕はない」と判断したのかも知れません。 飯田)でも、G20の議長国はブラジルです。重要な国が多いですよね。 神保)内政がどうしても重視されますし、2024年は各国で主要な選挙が行われますから、なかなかG20を盛り上げるモードにはならない気がします。 飯田)アメリカも大統領選を控えています。