Tシャツ1枚321円の中国系“激安”通販「Temu」、アメリカ人1億人が「疑わしい」のにどっぷりハマる理由
● 絶え間なく届く広告は スパムに近い 3.プロモーション このプロモーションには多くの疑念が上がっているようだ。SNSでTemuと検索すると、無数の「無料商品を8点もらえるように、招待を受け入れてくれませんか? 超最新ショッピングアプリのTemuは現在、皆さまに無料ギフトをプレゼント中!」という個人によるキャンペーン投稿で溢れかえっている。 「中国のeコマース親会社であるPDDホールディングスの支援を受け、Temuは超低価格、大規模な広告費、そしてクーポンやゲーミフィケーション戦術(ゲーム要素を取り入れてユーザーの関与を高める手法)の多用によって米国の消費者の財布をつかんできた。この戦略により、長い配送時間、疑わしい製品品質、そしてスパム(無差別な迷惑メール)に近いような絶え間ない宣伝活動にもかかわらず、アプリは米国で成長を続けている」(FORTUNE、6月12日)というような厳しい指摘も受けている。 逆にどっぷり漬かっている人もいるようだ。「週刊FLASH」(5月21日号)には、編集部の記者が実際にTemuを利用した模様を報告している。 「本誌記者が初めてTemuを利用したのは、2024年2月26日。ちゃんと届くのか不安を感じながら、日用品を2個、748円で購入した」 「3月2日に無事到着。/梱包に緩衝材などは入っていなかったが、商品自体に問題はなかった。その後、毎日のようにメールで「お客様専用のクーポン」が届き、再び商品を購入。「大幅値引き」「今だけ大特価」的なメールが届くたびに、何か必要なものはないかと探しまわるように。/結果、バッグや電化製品などにも手を広げ、現在まで計7回購入している」 広告がうっとうしいというデメリットはあるものの、7回購入したというのだから、どっぷりハマっているということだろう。 ● 「10分間限定」のカウントダウンが 表示されても、焦ってはいけない Temuがメールで配布するクーポンについて、山野氏はこう注意を喚起している。 「私が実際に受け取ったクーポンを例にとります。もらったクーポンをよく見てみると、配布されるのは割引額の合計が1万5000円のクーポン5枚。そして、これは無条件で使えるクーポンではなく、最低注文金額が設けられている。 クーポンはそれぞれ『7500円以上の注文で3750円引き×1枚』『1万5000円以上の注文で4500円引き×1枚』『1万1250円以上の注文で2250円引き×3枚』となっており、1回の注文で1枚しか使えないため、それなりの額を買わないと使えない上、最大でも半額しか得にならないことが分かる。 このクーポンが単なる演出に過ぎないことを知らないと、慌てて要らないものをたくさん買ってしまうことになりかねません。また、このクーポンは『10分間限定』と画面上にカウントダウンが出てきて消費者を焦らせてきますが、10分がたってタイムアウトになっても、トップページに戻れば再度クーポンは使えるので、焦らないようにしてください」 安いが、プロモーションは煩わしそう。私が利用するのはもう少し待っていようと思う。
小倉健一