『赤羽骨子のボディガード』撮影現場に潜入!ラウールのアクションにプロデューサーも満足「かっこよくキマる予感はしていた」
週刊少年マガジンで連載中の丹月正光による人気漫画を、『変な家』(公開中)を手掛けた石川淳一監督が実写映画化する注目作『赤羽骨子のボディガード』(8月2日公開)。Snow Manのラウールが金髪&白い制服姿で『ハニーレモンソーダ』(21)以来3年ぶりとなる単独主演を務め、出口夏希が劇場映画初のヒロイン役に挑む“学園アクションエンタテインメント”だ。MOVIE WALKER PRESS編集部は、2024年3月に、撮影現場である千葉県君津市にある巨大な廃墟のような外観のアクアスタジオに潜入。主演のラウールと加藤達也プロデューサーのインタビューと共に、撮影の模様をお届けする。 【写真を見る】鋭い眼差しで『赤羽骨子』の世界に入り込む、主人公の荒邦を演じるSnow Manラウール ■豪華な顔ぶれが集結した、3年4組の生徒たち 錚々児(そうそうじ)高校3年4組の生徒、赤羽骨子(出口夏希)はとある事情で100億円の懸賞金をかけられ、命を狙われていた。そこで彼女の父からボディガードに任命されたのが、クラスメイトで幼なじみの威吹荒邦(ラウール)。彼女に気づかれることなく、命を守ろうと奮闘する荒邦だが、ある日、“骨子以外の3年4組の生徒全員が彼女のボディガード”であるという予想だにしなかった事実を知ることに…。 ラウールやヒロインを演じる出口だけでなく、彼らのまわりを固める3年4組の面々にも豪華な顔ぶれが集結。奥平大兼、高橋ひかる、倉悠貴といった勢いのある若手をはじめ、声優の木村昴、お笑い芸人の芝大輔(モグライダー)やかなで(3時のヒロイン)、アーティストのあのや詩羽(水曜日のカンパネラ)、さらにはお笑い芸人の土佐兄弟から有輝が参戦するという、なんともバラエティに富んだキャスティングだ。 ■「シャッターが上がっていくところを見て、この映画すごいなって思いました」(ラウール) この日、最初に撮影されたのは、骨子の命を狙う殺し屋集団に追い詰められ、ラウール演じる荒邦が椅子に縛り付けられているシーン。がらんとした廃墟の空間のなかでラウールが椅子に縛られたまま地面に倒れており、その周りを覆面の殺し屋たちが取り囲む。ラウールの威嚇するようなセリフがしんとしたスタジオに響き渡り、現場全体に緊張感が漂っていた。横たわったままの状態でラウールがスタッフとやり取りをする姿もみられ、一つ一つ丁寧にこだわりながら撮影を進めている様子が伝わってきた。 その後、3年4組のクラスメイトたちが初めて一堂に会するシーンの撮影へ。大型トラック2台は同時に入れるのではないかというくらい巨大なシャッターの外に、奥平をはじめとしたクラスメイトたちがずらりと待機する。本作の撮影で、ここまでの大人数が集まったのは初めてだったようで、その場の熱量が高まっていくのが肌で感じられたほど。このシーンについてはラウールも「序盤の最もキーになる掴みのシーンです。クラスメイト全員が荒邦を助けにくる、シャッターが上がっていくところを見ていて、この映画すごいなって思いました」と高揚感を隠し切れない様子だった。 カットの合間ではキャスト同士が楽しそうに会話している様子も見受けられ、和気あいあいとした和やかな雰囲気ができあがっていた。ラウールは、印象的だったという共演者の1人、力持ちの柔道家、大叢井巌(おおむらい・いわお)役を演じる木村昴との会話を振り返る。「木村さんのセリフで『おい、威吹!乱取り稽古しようぜ』っていうのがあって、冗談で僕がちょっとジャイアンっぽい声でセリフを言ったら、木村さんが“本職”のをやってくれたんです。みんな心のどこかで昴さんのジャイアン聞きたいなっていう想いがあったのか、すごいわきましたね」。 ■「結構心配性なタイプなので、落ち着かせてくれる監督はすごくありがたい」(ラウール) 現場には笑いもありながら、いざ本番に入ると空気は一変する。事前に入念に確認されたスピードで、ゆっくりと上がっていく巨大なシャッター。そこから徐々に見えてくるクラスメイトたちの足元。スモークがたかれ、煌々と輝くライトによって浮かび上がるキャストたちのシルエットに、現場にいる誰もが息をのんでいた。石川組の撮影は非常に丁寧で、一つのカットに対して何度も繰り返しカメラチェックを行いながら進み、スタッフと演者がコミュニケーションを取る場面も何度も見受けられた。 撮影中、石川監督と頻繁に話していたと語るラウールは「本当に安心感があるんです。僕は結構心配性なタイプなので、落ち着かせてくれる人はすごくありがたくて。僕がダメかもと思っても、カット後『大丈夫でしたよ』って言ってくださる感じは安心できます。でも、妥協はないから、ちょっと僕(の演技)がニュアンス違ったなとか、ちょっとカメラが違ったな、照明が違ったなってなると、絶対にやり直す。そんなところも安心できるので、すごくいい監督だなと思いました」と監督への信頼感をにじませていた。 クラスメイトたちが初めて一堂に会するこのシーンは、もはやクライマックスなのではないかと思ってしまうぐらいボルテージの上がる場面に。しかしラウール曰く、「まだまだ大事なシーンが残ってます。水族館やダンス大会も。アクションも楽しみなんですが、プライベートでなかなか水族館には行けないので、大きな水槽でお魚さん見るのも(笑)!あとは骨子の父親、尽宮正人役の遠藤憲一さんとのシーンですね。“尽宮対威吹”は親子共々面白い関係性なので、そこが上手くいったらいいなって思ってます」と残りの撮影への意気込みを語ってくれた。 ■「主人公として存在感が埋もれない方がいいなと考え、そこで思い浮かんだのがラウールさんでした」(加藤P) 本作でのラウールの抜擢について、加藤達也プロデューサーは「この原作を映画化すると決めた時、華やかなキャラクターたちのなかで主人公として存在感が埋もれない方がいいなと考え、そこで思い浮かんだのが、規格外な存在感、スケール感でご活躍されているラウールさんでした。この企画をおもしろがっていただけるんじゃないかという、こちらの勝手な想いだけでお願いをしに行きました」と当時を振り返る。 ラウールと同じくらいのタイミングで声を掛けていたという、ヒロインの赤羽骨子役を演じる出口については、「赤羽骨子は映画のなかで非常に大切な存在だなと認識しながらも、とにかくフレッシュな方にやっていただきたいと思っていました。そして、原作でもそうなのですが、みんなに守られていることに気づかないとか少し抜けた部分もあって、そのかわいらしさが魅力の一つでもある。あざとくなく、天真爛漫に、かつ女性からも共感を得られるような方を考えた時に、出口さんにお任せしたいと直感的に思っていました」と原作のイメージに近いキャスティングができたと喜びをあらわにしていた。 ■「原作のビジュアルを手掛かりにしてお声掛けをしていきました」(加藤P) 各界から集められた3年4組のキャスティングについては「前提として、役者さんに限らず、芸人さんとか、歌手の方とか、声優さんとか、いろんなジャンルから集めたほうがおもしろいだろうなというのは最初から考えていました。僕が前にやらせていただいたバカリズムさん脚本の『地獄の花園』の時も、OLを男性が演じていたり、年齢もバラバラだったり。僕自身そういう作品が好きなので、今回も同じようにできたらと思っていました。ただ、原作の時点ですでにキャラクターたちが個性豊かに描き分けられていたので、単純に似ている人を探すような意識で最初はやっていました。大叢井はすぐ木村さんだと思ったし、潜水士の幡は潜れないといけないから土佐さんだね、みたいな(笑)。なので、原作のビジュアルを手掛かりにしてお声掛けをしていった感じです」と原作のイメージを壊さないようなキャスティングを心掛けていたことを明らかにした。 ■「ラウールさんは体の見せ方がうまい方なので、すごくアクションがかっこよく見えました」(加藤P) 本作の見どころでもあるアクションについて尋ねると、「ラウールさんは手足も長いですし、普通の方がアクションをやるよりも、単純に迫力が増します。体の見せ方もうまい方なので、すごくかっこよく見えました。アクションは敵に合わせて動く要素があり、その点はダンスに通ずるものがあるので、きっとかっこよくキマるんだろうなという予感はしていました」とラウールのアクションに満足そうな表情を浮かべていた。 また、アクション経験のない演者もいる3年4組については、「原作にも書かれているのですが、前線で敵と相対するチームと、後方で前線のメンバーをサポートするチーム、そして全体を指揮していくチームと大きく3つのブロックにわかれているので、アクションもできる方とできない方とで振り分けて考えました。登場人物には、“戦う”以外の役割もあったので、おかげで幅広くやれたかなとか思っています」と、キャストの経験に応じて柔軟に対応できたと語る。 ■「役者の皆さんの“青春感”みたいなものが、お芝居を超えて伝わってくる部分があると思います」(加藤P) 実写化にあたり、原作者の丹月正光とどのようなやり取りがあったのか尋ねると、「丹月先生からは、ありがたいことに初めから『お預けします』と言っていただけて。とは言え、3年4組の面々は先生が本当に心血を注いで作られたキャラクターたちだと思うので、そこは絶対にブレないようにやろうと。あとは2時間の映画としての見ごたえを作るために、原作に少しオリジナルな部分を混ぜるかたちで脚本を作らせていただいたのですが、それに関しては丹月先生にもすごく喜んでいただけました。本当にスムーズに進められたなと思っています」と丹月との間に強い信頼関係があったことを打ち明けた。 最後に、本作の注目ポイントを聞くと、加藤Pは充実感のある表情で次のように答えた。「役者の皆さんが本気でキラキラしながら撮影を楽しんでいる姿が映っていると思います。彼らの“青春感”みたいなものも感じてもらえたらと思います。大人になってから高校生活をしているような、思い出みたいなものが、お芝居を超えて伝わってくる部分があると思うので、そこはストーリーとは別で観ていただけると、おもしろいのかなと思います」。 取材・文/編集部 ※高橋ひかるの「高」は「はしごだか」が正式表記