佐渡金山、世界遺産登録へ前進 イコモス、日本に「情報照会」勧告
政府は6日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)諮問機関のイコモスが、日本が世界文化遺産に推薦している「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)について、補足説明を求める「情報照会」を勧告したと明らかにした。勧告では「世界遺産登録を考慮するに値する価値がある」と認められており、政府は最終的な可否が決議される7月のユネスコ世界遺産委員会での登録を目指す。 文化庁によると、イコモスは金山の価値を認めた上で、①明治以降の遺産が多くを占める一部地区の除外②遺産保護のための「緩衝地帯」の拡大③商業採掘を再開しないという約束-の3つの追加情報を求めたという。 情報照会は4段階ある勧告の区分のうち、「登録」に次ぐ上から2番目。勧告で情報照会とされても世界遺産委で登録が認められた例は多い。ただ、世界遺産委で勧告通りに情報照会と決議されれば、登録は来年以降にずれ込むことになる。 佐渡金山は国の文化審議会が2021(令和3)年、23年の登録を目指す候補に選んだが、文化庁は「(推薦書を提出するかどうかは)政府内で総合的な検討を行う」として対応を明確にしなかった。日韓関係への配慮があったとみられる。 自民党の一部議員からの批判を受け、政府は22年に一転して推薦。しかし内容の不備を指摘され、23年の登録を断念し23年1月に再提出した。 佐渡金山は「相川(あいかわ)鶴子(つるし)金銀山」と「西三(にしみ)川(かわ)砂金山」の2つの鉱山遺跡で構成。17世紀には世界最大級の金の産出量を誇った。金の採取から精錬までを手工業で行っていた時代の遺構は、世界的に例がないとされる。