宇野昌磨の2連覇なるか? 復活の鍵山優真、4回転ループ挑戦の三浦佳生らが立ち向かう【GPファイナル】
シーズン前半のクライマックスであるグランプリ(GP)ファイナルは、中国・北京で12月7日に開幕する。男子シングルは力のある6名が順当に進出、そのうち3名は日本の選手となった。三者三様の強さを持つ日本男子に、期待がかかる。 【画像】2連覇を目指す宇野昌磨!世界フィギュアで見せた“渾身の演技”をチェック 昨季GPファイナル王者・宇野昌磨は、表現力を重視して臨む今季、4回転についてはサルコウを封印し、3種類(トウループ・ループ・フリップ)に抑える構成で戦っている。シーズンオフはアイスショー『ワンピース・オン・アイス』に全力で臨み、11月のGP第4戦中国杯が初戦という異例の遅いシーズンスタートとなった。 中国杯では、ショートで技術面・表現面ともにほぼ完璧といえる滑りを披露。100点越えのハイスコアをたたき出して首位発進したものの、フリーでミスがあり、優勝したアダム・シャオ イム ファ(フランス)に次ぐ2位になっている。 GP第6戦NHK杯のショート、宇野は演技をまとめて2位につけている。フリーでは後半で予定していた4回転トウループが2回転になるも直後に再び挑み着氷、セカンドジャンプもつけてミスをリカバリーする気迫を見せた。フリーだけの順位では1位だったものの、合計点で優勝した鍵山優真に及ばず総合2位になっている。宇野にしかできない円熟の滑りで観客を魅了したものの、成功の確信を持って降りた4回転ジャンプがことごとく4分の1回転不足と判定された。ファイナルでは、宇野が積んできた練習に自信を持って演技すること、また納得できる評価を受けることを願ってやまない。
GP第3戦フランス杯で3位に入り、第6戦NHK杯で優勝した鍵山は、昨季は左足首の怪我のためGPの欠場を余儀なくされた。2季ぶりのGP出場となったフランス杯では、ファイナルにポイントランキング1位で進出するシャオ イム ファ(優勝)、ランキング2位となるイリア・マリニン(アメリカ、2位)と競い、3位に入っている。 フランス杯で伸び盛りの強豪二人に刺激を受けた鍵山は、フランス杯のショートでは1本のみだった4回転をNHK杯のショートでは2本に増やし、構成を上げている。NHK杯では宇野とのハイレベルな戦いも経験した鍵山は、怪我の前よりも表現面を含む演技の完成度を高めてきた。現状、フリーの構成では4回転をトウループとサルコウの2種類2本にとどめているが、ジャンプの質が高く出来栄え点での高評価が見込めるのが鍵山の強みだ。初出場となるファイナルで、新たな強さを世界に示してほしい。 GP第2戦スケートカナダで2位に入り、第5戦フィンランド大会でGP初優勝を果たした三浦佳生には、勢いがある。今季は表現面で挑戦しており、ショートではブノワ・リショー氏によるコンテンポラリーの振付に挑み、フリーでは好きなアニメ『進撃の巨人』の曲に合わせてシェイ=リーン・ボーン氏の振り付けを全身で踊る。 爆速と称されるスケーティングから入る大きなジャンプが三浦の持ち味で、4回転はトウループ・サルコウに加えループも習得しているが、GP2戦ではまだ4回転ループは跳んでいない。ファイナルでは4回転ループを跳ぶと明言していることに加え、フィンランド大会ではレベルのとりこぼしが目立ったスピンの修正に重点的に取り組むことも誓っている。昨季はショート3位につけながらフリーで崩れ、総合5位に終わったファイナルで雪辱を果たしたいところだ。 GPで300点台の合計点をマークしているシャオ イム ファとマリニンを、日本勢と個性派スケーターのケビン・エイモズ(フランス)が追う展開が予想される。ディフェンディングチャンピオンの宇野、そしてジュニア時代から切磋琢磨してきた鍵山と三浦が、世界一を決めるファイナルでどんな滑りを見せるのか、注目だ。 文●沢田聡子
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