「言葉をちゃんと届けたい」新潟発のロックバンド・終活クラブの楽曲へのこだわり
◇メジャーデビューしても感覚が変わることはない 2024年4月にVAPに所属。メジャーデビューすることが決まった終活クラブ。その背景には、終活クラブを担当しているVAPの田中宏太郎氏の存在が大きかったようだ。 「最初はメジャーデビューしようとは考えていませんでした。友達と組んだバンドですから、いま思えばよくデビューできたなって(笑)。結成当時から絶対にメジャーデビューしたいという思いもなかったですね。 そんな僕らがメジャーデビューできたのは、VAPの田中さんの存在が大きかったです。田中さんは信頼できるし、そんな田中さんからメジャーデビューのお話をいただいたときは、シンプルにチャンスだなって。夢って見ていれば叶うんだと感じました」 4月4日のワンマンライブでは、田中氏がオープニングスピーチをしていた。終活クラブと田中氏の信頼関係が、いかに強いのかが垣間見れた。そして、メジャーファーストEP『終活新布教盤』を5月22日に配信リリース。リード曲『しょうもないなあ』は先行配信された。 「リード曲の『しょうもないなあ』を作っていたときは、すごく心がモヤモヤしていたんです。全部が“しょうもないなあ”と思っていたんですけど、こういった気持ちがないと始まらないこともあるんだなって。 この楽曲はメジャー1発目ですけど、それにしてはゴチャついた歌詞だと思うんです。今までの終活クラブを詰め込んだ内容になってるんですけど、一番最後の<じゃ、始めますか>で、なんとなく全て大丈夫に感じられる楽曲にしたいなと思いました」 たしかに『しょうもないなあ』の歌詞は、文量が他の楽曲と比べても多く、具体的な体験談も盛り込まれている。 「快活CLUBによく行くんですけど、ダーツとかをはしゃぎながらやっている若者を見ると、胸がすごく苦しくなるんです(笑)。<テキーラ飲んで コール煽って ダーツとかしてみたかった?>は、そんな思いから書いた歌詞ですね。 今回はいろんな気持ちが入っているんですけど、“この部分は良いテーマだから後回しにしよう”というのができないんです。そのとき思ったことは、そのときに歌詞にしたいので。結果的にかなりギュウギュウな楽曲になりました」 メジャーデビューをしたとして、終活クラブらしさが失われることはない。むしろ、より濃度が増しているように感じる。 「『しょうもないなあ』を聴いたファンの方からは、“新しいけど、どう聴いても終活クラブだね”と言っていただけて。メジャーに行って変わってしまうんじゃないか……そう思っていたファンの方には、安心してもらえたのかな。バンド名も終活クラブのままデビューさせてもらえたので(笑)。 メジャーデビューとなっても心持ちは変わらないですね。むしろ、僕が曲を書く理由が増えたくらいかな。もちろん、うれしいこともあって、僕たちの曲を届けられる道が増えたと感じています。終活クラブの息抜きとして曲を書くのが趣味、というくらいだったんですが、もっとたくさん曲を書きたいなと思っています。 きっとメジャーデビューして時間が経っても、感覚が変わることはないと思います。バイトもするだろうし(笑)」 ◇ライブではお客さんの目を見ながら歌いたい そして、念願となる全国ツアーも開始される。今までライブをしたことがない場所へも、終活クラブが訪れることになる。 「いろいろ回らせていただけるので、とにかくうれしいですね。人が集まらなかったときのことを考えて、回る場所を限定することって、どうしてもあると思うんです。 その観点から、単純に、いろんなところでファンの方と会えるのはもちろん、自分たちが全国でライブができるという自信につながっているのもうれしい。僕自身も、好きなアーティストが地元に来てくれるってうれしかったですし。今までライブをしたことがない場所も多いので、楽しみに待っていてほしいです」 5月30日、東京・下北沢でスタートする全国ツアー。3か月にもおよぶ全国ツアーの最終日は地元・新潟で開催される。 「メンバーそれぞれのライブへの想いはあると思うんですけど、僕個人としては、お客さんの目をめっちゃ見るようにしています。お客さんに語りかけるように歌うんですけど、めっちゃ身振り手振りしています。 たぶん、フェスとかライブ会場が大きくなってしまったら難しいかもしれないですけど、目の前のお客さんに語りかけるくらい、目を見ながら歌いたいですね。やっぱり、ライブに来てくれるのはめちゃくちゃうれしい。僕からしたら、お客さんの顔を見るのがライブのメインになっています(笑)」 (取材&撮影:TATSUYA ITO)
NewsCrunch編集部