味方良介「別世界のものだという認識」ミュージカル『テニスの王子様』で教わった俳優としての基礎
2011年、19歳でミュージカルデビューをした味方良介さん。その後もさまざまな舞台に出演し、最近はドラマ・映画などの映像作品にも進出している。ミュージカルに憧れていた少年時代から現在まで、葛藤の連続だったという俳優人生の転機を聞いた。【第4回/全5回】 ■【画像】味方良介「まるで何かに取り憑かれた顔」木村伝兵衛を演じた『熱海殺人事件』
触れてこなかった漫画原作
現在、放送中のドラマ『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)に出演している味方良介さん。近年、映像作品への出演が増えているが、もともとのデビューは舞台。デビューから数年後に人気漫画を舞台化したミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンに出演し、注目を集めた。このことは味方さんにとって大きな転機となったが、当時は様々な感情を持っていたという。 「正直に言うと、ミュージカル『テニスの王子様』という作品はあまり詳しく知りませんでした。僕が観ていたのは東宝や劇団四季などが上演する海外ミュージカルでしたので、アニメや漫画原作にあまり触れる機会がありませんでした。 しかしオーディションの話をいただいた時、その内容に興味を持ち、挑戦してみることに決めました。会場に行くと、参加者皆それぞれの役に対してとてつもない熱量でアプローチしていて、思わず驚かされました。その熱量に負けじとこのオーディションに挑むことができ、様々な審査を経て、ありがたいことに合格することができました。また、スタッフの方々の一挙手一投足を見極める熱い気持ちが強く伝わり、多くの方々が作品に携わっていることを実感し、全ての方の想いを背負って作品に取り込むようになりました。この経験を通じて、作品作りの大切さや、皆さんの想いがどれほど大きいかを改めて感じることができました。」 ーーそこで得たものは多かったようです。 「そうですね。まだ右も左もわからない自分たちに丁寧に演出をつけていただき、日々成長できた気がします。スタッフさんたちは“テニミュ”を巣立ったあとのことまで考えてくださっていて、芸事を続けていく中で大切なことを教えていただきました。簡単なことに聞こえるかもしれませんが、挨拶は全ての方へ、楽屋は清潔感を保ち、鏡前は整頓する、そういう当たり前でとても大切なことをたくさん学ぶことができました。それは今でも体に染みついています。」 それまで触れて来ることのなかった『テニスの王子様』で、味方さんは舞台俳優としての基本のキを学んだのである。