中日・松坂大輔キャンプ初日に見えた復活の糸口と波及効果。「100点の1日」
痛めた肩に不安がない。肩の痛みと戦いながら調整を続けてきた去年とは明らかに肩の状況が違うから松坂の復活ビジョンも明確だ。 「オフの間から続けてきた肩強化もそう。フォームもまだまだ修正しなければいけないところがある、少しの時間も無駄にしないように。フォーム修正点? 下の動きですかね。まだ自分の思うように動かすことができていない。なんとか、2月中に動きをとり戻す。なんとかしたい」 ソフトバンク時代に左足で少し半円を描くようなステップの動きに変え、その遠心力と下半身の粘りで上体をリードする新フォームにチャレンジしていたが、故障と共に頓挫した。多少コントロールが曖昧でも球威で打ち取るという全盛期のスタイルからは脱皮しなければならない。ボールを動かすことでバットの芯を外していく新しいスタイルの完成度を高めて勝負するためには、どの球種も、ぶれない制球力が求められる。 制球力はイコールフォームの安定度にある。上体の反動だけに頼るフォームには限界があるため、松坂は「下を使う」新フォームを探求するのだろう。 この日、ブルペンには入らなかったが、又吉克樹(27)を相手にしたキャッチボールでは距離を徐々に伸ばして70メートルほどの遠投を見せた。肩に痛みがあるころは、痛くない場所を探しながら投げているような窮屈さがあったが、痛みが消え「肩の強化を続けている」効果で以前よりも肩甲骨が動くのか、肩の稼動域が広がり、腕が前へ大きく伸びているように見えた。当然、リリースポイントも前に移動、腕の振り自体の速さにもつながる。馬力という点では物足りないが、復活への入り口は見えつつある。 松坂は投げなかったが、ブルペンには入った。他の投手のピッチングを足を止めて観察していた。 「若手、ベテラン関係なく、いろんなピッチャーが投げている中で、自分のために参考になるポイントがあると思いながら、自分のために見ています」 松坂は、そう言うが、“松坂効果”は、また1球も投げていないのに、もうチームに生まれつつある。 2年目の期待の左腕、小笠原慎之介(20)にも、アドバイスを送ったようで、小笠原自身が感激していた。だが、松坂は、「いえいえ。アドバイスっていうほどでもない。アドバイスのつもりで言っていない。何度か、(自主トレから)ブルペンで投げている姿を見て、雑談をしながら、その流れで、聞かれた質問に答えただけ。アドバイスのつもりはない。でも、いいボール投げますよね。ただ他にも元気なボールを投げるピッチャーがいるので、逆に目立たないのが凄いと思う」と言う。 そして日米でエースを張った男が独自のプロ論を一席ぶった。