孫泰蔵氏らが自治体を変えるXinobiAI設立 AIエージェントを最速で実現
新潟県三条市が導入へ
自治体にフォーカスした理由について馬渕共同代表は以下のように強調する。 「人手と資金不足によって、新しいサービスは何もできないと言っている自治体の人たちに、このAIエージェントの便利さを実感してもらうのが一番良いと思っています。最初に地方の自治体に使ってもらいたいと考えています。人手不足は自治体にとって切実な課題なので、導入のチャンスです」 こうした動きの中で、新潟県三条市(人口9万1000人)が2025年にはAIエージェントを導入しようと、既にXinobiAIの担当者と話し合いを始めているという。 導入に向けて中心的役割を担っているのが2023年4月に経済産業省のキャリア職から三条市の副市長に就任した上田泰成氏(32歳)だ。この日の会見にオンラインで参加し「職員の数が減る中で、業務は複雑化、多様化してきています。XinobiAIとは、どうしたら職員の業務軽減になるかを検討していきたいです。例えば市民からの電話対応などは、ほとんどはWebサイトを検索すれば分かることですが、全てに答えていると本来の業務ができなくなります。このためWebサイトにAIエージェントの表示があり、それをクリックすれば自動的に答えてくれるようになれば、電話対応の負担が減る」と話した。 馬渕共同代表は「自治体で1カ所でも成功事例が生まれれば、いろいろな自治体が組み合わせて使える。AIエージェントを組み合わせればオーケストラのようになり、より高性能のシステムを創れます」と話す。自分の自治体ではできなくても、隣の自治体でそのサービスができないかどうかもAIが調べ、可能なら隣の自治体のAIエージェントにやってもらうような広域自治体による連携サービスも可能になってくる。
「たらい回しがなくなる」
これまではお困りごとの相談などで「うち(の自治体)ではできないので、他を当たってください」と自治体の担当者から言われ、たらい回しされることが多かった。AIエージェントが広がってくれば、孫共同代表は「最初から最適な所を紹介して手続きもしてくれるので、たらい回しされることもなくなります」と話す。 病院に行く場合も、最適な病院が見つからずにたらい回しされることがあった。馬渕共同代表は「AIエージェントがあれば、かかっていたいくつかの病院のカルテも統合してくれて、今の病状から考えられる最適な病院を見つけて紹介してくれる。その病院までのタクシーの送り迎えの手配までしてくれる」と語る。AIの進化により、至れり尽くせりになる時代が来るのだ。