「雇用の責任果たして」パタゴニア雇い止め訴訟から1週間、社側は請求棄却求めるも具体的主張せず
「働くことがつらい人に訴えたい」藤川さんが明かす思い
裁判後には、パタゴニアユニオンが報告集会を開いた。集会には藤川さんや原告側弁護士らが出席した。原告側弁護士は、「パタゴニア社側の具体的な主張は7月8日までに書面で提出される。そこからが実質的な裁判のスタートとなる。今の段階では、パタゴニア社側の具体的主張は出ていない状態だ」と裁判について説明した。 藤川さんは「自分は会社を訴えようとは思っていなかった。当事者の1人として私たちは差別に苦しんでいると強く思う。非正規でも正社員でも半年後にどうなっているか分からない状態で働きたい人はいないはず。力を持っている側が『対等な立場で自由に契約を交わした』と言うが、会社側の都合でしかない。ものすごく疑問だ」とパタゴニア社側への不信感をあらわにした。 そのうえで、「さまざまな立場で働いている人たちが苦しい立場に追い込まれることがたくさん起きている。私は、裁判を通じて『苦しい』とか『働きづらい』とか、働くことがつらい人がいたら、一度自分に対して問いかけてみませんかと訴えたい」と裁判に臨む思いを明かした。 本稿記者がパタゴニア社側に取材を申し込んだところ、「現在係争中の訴訟に関して話を控えております」との回答だった。意見陳述から約1週間。藤川さんの戦いは、まだ始まったばかりだ。
小林 英介