究極のドライバーズ・スーパーカー|アストンマーティン「ヴァルハラ」デビュー
アストンマーティンが送り出す、初の量産ミドシップ・ハイブリッドスーパーカー「ヴァルハラ」。フォーミュラ1®のパフォーマンス重視の手法と最先端の技術、そして目を見張るデザインを融合させたこの一台は、公道でもサーキットでも極限の走りが約束されている。 【画像】999台限定。F1の技術とアストンマーティンの美意識が生んだスーパーカー、ヴァルハラ(写真28点) 開発はついに最終段階へと達し、その全貌が明らかになった。ヴァルハラは、アストンマーティンにとって数々の「初」を刻んだモデルだ。量産型として初のミドシップレイアウト、初のプラグインハイブリッド、さらにはEVモードによる専用走行を実現する初の量産車である。また、4.0リッターV8ツインターボ・フラットプレーンクランクエンジンを初採用。アストンマーティン史上、最も高性能なV8エンジンを備えたモデルとなった。これに加え、新たに開発された8速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)には電気モーターとリア電子制御ディファレンシャル(E-デフ)も組み込まれ、類まれなダイナミズムを発揮する。 そのデザインは新たな時代を告げるものだ。スーパーカーとしてのパフォーマンスを、ピュアなラインと革新的なアクティブエアロダイナミクスに込めて表現。アストンマーティンならではのエレガンスはそのままに、効率性を極限まで高めた造形美が際立つ。空力と素材、ダイナミクスに関しては、アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1®チームのコンサルティング部門、アストンマーティン・パフォーマンス・テクノロジーズ(AMPT)との緊密な連携により、新たな次元の知見が投入された。公道での洗練された走り、サーキットでの圧倒的な実力――ヴァルハラはその両面を高次元で両立させている。 アストンマーティンCEOのエイドリアン・ホールマークは、ヴァルハラをこう表現する。 「4年前、私たちはアストンマーティンブランドの変革の旅に出ました。長年にわたって築き上げてきた比類のないラグジュアリーの名声に、F1®からインスピレーションを得た最先端のテクノロジーと、クラス最高水準のパフォーマンスを融合させ、世界で最も成功を収めるブランドとなることを目指したのです。 次世代スポーツカーが発売以来高い評価を受ける中、アストンマーティン初のミッドエンジンの量産モデルである究極のドライバーズ・スーパーカー、Valhallaをポートフォリオに加えました。スペック上でもサーキットでの走行でも、最もドライバーにフォーカスした、技術的に最も進化したスーパーカーであるValhallaは、真のハイパーカー性能を備えながら、公道では他のアストンマーティン車同様、実用性と快適さを実現しています。市場で最もエレガントでエキサイティングな車として設計された、唯一無二の存在です。 究極のハイパーカーであるアストンマーティン・ヴァルキリーの開発や、エイドリアン・ニューウェイとの協業を通じて、私たちは新たな視点で考える方法を学びました。この知識と新たな手法により、これまでの成功の強みをさらに発展させ、アストンマーティンの新たな歴史の一画を担うValhallaを見守るお客様のために、テクノロジー、パフォーマンス、顧客体験において、クラスをリードする企業としての地位を確立することができました」 ヴァルハラのハイブリッドパワートレインは、V8エンジンと3基の電動モーターの組み合わせによって構成され、システム総出力は1,079PS、最大トルクは1,100Nmに達する。V8エンジンは828PSを発揮し、フラットプレーンクランクの採用によりシャープなレスポンスと官能的なサウンドを実現。電動モーターは前輪に2基、トランスミッション内に1基搭載され、前後輪を独立して制御することで、俊敏かつ安定した走行性能をもたらす。 アクティブエアロダイナミクスは、F1マシンの技術を応用し、240km/hで600kgを超えるダウンフォースを発生。リアのTウイングはRaceモードで展開し、制動時にはエアブレーキとして機能する。一方、フロントには隠されたアクティブウイングが備わり、空力のバランスを緻密に制御する。これにより、サーキットでは極限の安定性を、公道では美しいシルエットを保つことが可能となった。 シャシーはカーボンファイバー製のモノコックで構成され、F1由来の技術が投入されている。前後には最新のサスペンションシステムが搭載され、路面状況や走行モードに応じて最適な減衰力を提供。ブレーキにはカーボンセラミックディスクが採用され、優れた制動性能と耐久性を両立している。 インテリアには、ドライバーを中心とした設計思想が反映されている。F1マシンにインスパイアされた低いヒップポイントとカーボン製シートが、マシンとの一体感を最大限に高める。新たなHMIシステムは、走行状態やエネルギーフローをリアルタイムで可視化し、シフトタイミングや回生状況を直感的に把握することが可能だ。 生産台数はわずか999台。初回納車は2025年後半を予定している。アストンマーティンのカスタマイズ部門「Q by Aston Martin」を通じて、オーナーは自分だけの特別な一台を作り上げることができる。F1の技術とアストンマーティンの美意識が生んだヴァルハラ。それはまさに、スーパーカーの新たな未来を切り拓く存在であると言えよう。
Octane Japan 編集部