2025年政治展望 政権の命運握る来夏の参院選 注目されるネット選挙の影響力 伊藤智永
国会の空転や不祥事などで支持率が下落したら、3月末の予算成立時に「石破降ろし」政局もあり得るとの見方がある。1月の韓国訪問が流れ、トランプ次期米大統領との会談設定が難航するなど、外交が鬼門になるかもしれない。「首相失格」の烙印(らくいん)が押され、夏の参院選を前に「選挙の顔」を替えるというわけだ。 01年春に不人気の森喜朗首相が辞めて小泉純一郎首相に交代し、参院選に大勝した成功体験からの連想だが、政局に柳の下のドジョウはいない。予算成立の駆け引きで緊迫しても、野党も年度内成立を遅らせたら得点にはならない。自民党内に不満分子がいても、強引に辞めさせるだけの軍師、戦略、熱量、集団、神輿(みこし)を備えていない。通常国会会期末に内閣不信任案で押し引きはあっても、主戦場はあくまで参院選だ。それまで各党は独自色を競い合うしかない。 ◇自公で50議席が焦点 与党は、非改選が自民62に公明13の計75議席あるので、過半数の125を維持するには50議席取ればいい。改選は自民51と公明14の計65議席だから、これまでは難しくないと考えられてきた。しかし、与党大敗の衆院選得票で試算すると、自公で50議席に届かない可能性も出てきた。衆院に続き参院でも自公過半数割れなら、今度こそ石破氏は退陣必至だ。 1998年の橋本龍太郎内閣退陣も07年の第1次安倍内閣退陣も、政変は参院選敗北後に起きた。昔はそれでも自民党内の首相交代だったが、今度は政権の行方が混沌(こんとん)とする。新しい自民党首相で政権を維持できるか。自民・立憲民主の大連立や政界再編の動きも出てくるだろう。 逆に自公が過半数を保ったら、そこで初めて自公国連立が成立し、石破氏は続投する。岸田内閣が低支持率にもかかわらず気づいたら3年もったことを思えば、石破氏も党総裁任期の27年秋まで続く可能性さえ開けてくる。 政権の命運を左右する参院選で注目されるのは、ネット選挙の影響力だ。今年は各種選挙で、ユーチューブやSNS(ネット交流サービス)が脚光を浴びた。東京都知事選の石丸伸二氏大量得票、衆院選における国民民主党の躍進、兵庫県知事選での斎藤元彦氏再選、名古屋市長選の与野党相乗り候補落選。「SNS選挙元年」の指摘もある。