波紋広がる世界1位シナーのドーピング問題。キリオスらが疑問視、処分を受けた選手たちからも声があがる<SMASH>
テニスの不正行為を監視する第三者機関「ITIA」が発表した、世界1位のヤニック・シナー(イタリア)のドーピング問題に関する裁定が波紋を広げている。 【画像】シナーのドーピング問題に言及したキリオス、シャポバロフ、ダニエルのX画面 ITIAによると、今年3月の「BNPパリバ・オープン」におけるドーピング検査で、シナーの検体から禁止薬物が検出されていた。すぐに暫定的な出場停止処分が科されたが、異議申立てが認められ処分は解除。その後の詳しい調査の結果、違反が故意ではなく、選手本人の過失もなかったと判定された。こうしてシナーの資格は停止されず決着している。 この発表を受けて、テニス界から様々な声があがっている。 ニック・キリオス(オーストラリア)は、「ばかげているよ、偶然だろうと計画的だろうと。禁止物質で2回検査されるなんて…2年間は出場停止だ。パフォーマンスが上がった。マッサージクリーム…うん、いいね」と自身のXで持論を展開。※ITIAの調査結果では、今回検出された禁止薬物の量(10億分の1グラム以下)では、パフォーマンスに影響は及ばないと推定されている。 デニス・シャポパロフ(カナダ)は「選手によって異なるルール」と一言。 日本のダニエル太郎も次のように疑問を投げかけている。 「これは明らかにおかしい。ワザとではなくても陽性になった瞬間に6ヶ月の出場停止があるはず。出場停止なし所が4ヶ月後にこの発表があってその間に大会出続けてるのも全てが今までのプロトコルと違う。政治」(原文ママ) 裁定を知った選手、あるいはファンの反応の多くは、なぜ出場停止処分が下っていないのか、なぜ公表に時間がかかったのか、そしてなぜ即時に無実となったのか、といった疑問から生じている。だが本サイトで既報の通り、専門家はシナーの裁定はあらかじめ定められたルールに則ったものであり、決してダブルスタンダードではないと指摘している。 ただし、例えば暫定的な出場停止に対する異議申し立てを認めさせるには、陽性反応の原因を明らかにしたり、過失がないことを証明するだけの弁護体制を即時に整える必要がある。シナーのようなリソースを持たない選手にとって、現実的には生かすことの難しい制度だという声もある。