誕生25周年 それでも色あせない『攻殻機動隊』の魅力
『攻殻機動隊 ARISE』4部作の完結編、『border.4 Ghost Stand Alone』が9月6日、2週間限定で全国公開される。本作の総監督は19年間、攻殻機動隊に携わっている黄瀬和哉氏。脚本は本シリーズを通じて冲方丁氏が担当している。マンガとして『攻殻機動隊』が誕生して、今年で25年。長い間、熱狂的に支持されるSFアニメーションだが、シリーズの制作に深く関わっている黄瀬、冲方両氏にその魅力を聞いた。 『攻殻機動隊』は、1986年に士郎正宗氏によって発表された近未来を描いたSF作品。アニメーション映画化されたのは、19年前にさかのぼる。当然ながら、現在のようなネットワークは存在していなかったが、「当時は、インターネットは軍用では、存在したかもしれないくらいの頃。でも、当然普及はしてない。それが爆発的に普及した時にどうなるか、という話を当時から『攻殻機動隊』は表現していた。“今のスマホ”と同じものを表現したわけじゃないけど、当時、描いたものと同じ行動を現代の人はしている。『未来はこうなる』とか、『こうなったら、監視されていて嫌だな』、って思いつつ、数十年先の世界をイメージしてきた」と黄瀬さん。当時、想像して制作されたアニメーションに、ようやく時代が追いついてきたという。
そんな『攻殻機動隊』は、SFアニメーションを目指す人にとって、バイブル的な存在だった。19年前に18歳だった冲方氏は「最初の作品は公開された当時は、SF冬の時代。本の帯に『SF』って書くと売れなくなった。でも、(攻殻機動隊が)大ヒットしたのを見て、勇気をもらいました。『攻殻機動隊』は新しい時代を作ったと思う」と振り返る。また、「SFという “ジャンル”が、その後に支持される時代になるのはわかっていた。CGの技術が発達してきていた。技術の進歩で表現力が劇的に変わる。それを変えたのが『攻殻機動隊』だった」と、冲方氏は“冬の時代”にありながら、『攻殻機動隊』の躍進を予期していたという。