【沸騰化時代の処方箋】ウニにキャベツをあげると美味に変身! 海藻食べ尽くす厄介者を有効活用
地球“沸騰化”と言われる時代に生きる知恵。海を荒らす厄介者を、意外な方法でごちそうに変える取り組みを取材しました。 【動画】海藻を食べ尽くすウニ
「サザエやアワビがとれない」 尾鷲の海で異変が…
三重県尾鷲市にある鮮魚店。店先には地元でとれた海の幸が並んでいましたが、“あるもの”が品薄状態になっていました。店主が「昔はこれより大きいのが、たくさんあったんですけど…」と言いながら見せてくれたのはサザエです。さらに、アワビも数が少なくなっているといいます。 実は今、尾鷲の海でサザエやアワビがとれなくなっているのです。一体、何が起きているのでしょうか。
尾鷲の海でスキューバダイビングのガイドをしている三木浦ダイビングサービスの山田哲郎代表に、沖に出て海の中を撮影してもらうと、ある異変が起きていました。海藻が生い茂る一帯を抜けると、その先は岩がむき出しに。海藻が生えない「磯焼け」と呼ばれる現象が起きていました。
海藻が無くなった岩場の隙間にいたのは、長いトゲを持つ「ガンガゼ」という生き物。山田さんが活動するエリアでは、近年このガンガゼの数が増えていて、海藻を食べ尽くしてしまうことが磯焼けの原因の一つだといいます。 さらに、尾鷲市でガンガゼを調査する尾鷲市水産農林課の石川主任は、海水温の上昇が磯焼けを更に深刻にしていると指摘します。 尾鷲市水産農林課 石川達也主任: 「水温が上がってしまうと、ガンガゼなどのウニや魚の活動が活発になり、海藻が多く食べられてしまうことで、海藻が減っていると考えられています」
黒潮は通常、日本列島に沿うように流れていますが、2017年からは大きく蛇行するように流れが変化。この現象は「黒潮の大蛇行」と呼ばれています。その影響で三重県の海に温かい海水が流れ込み、尾鷲市では冬の海水温が2020年には、大蛇行の前に比べて2.7℃も上昇しています。 黒潮の大蛇行の影響で海水温が上昇し、その結果、ガンガゼなどの生き物の活動が活発になり、海藻が食べ尽くされて磯焼けが発生。これが、海藻を餌にするサザエやアワビが減少する一因となっていたのです。