追悼式で遺族ら献花 犠牲者の冥福祈る 知床観光船事故から2年・北海道
北海道・知床半島沖で死者・行方不明者26人を出した観光船「KAZU I(カズワン)」沈没事故から23日で2年となった。 地元の斜里町では追悼式が行われ、犠牲者の遺族らが参列。献花して冥福を祈った。 式には乗客家族らや町関係者など約150人が出席。山内浩彰町長は式辞で「安心で魅力的な観光地であるために何をすべきか。地域全体で改めて問い直し、安心安全を一つ一つ積み重ね実践していく」と力を込めた。 事故が発生したとみられる午後1時すぎにはサイレンが鳴らされ、出席者らは黙とうをささげた。知床斜里町観光協会の野尻勝規会長は「知床を訪れる方たちを受け入れる上で、安全の確保こそが最大の使命だ」と強調。「私たちは(事故を)忘れません」と誓った。 乗船して行方不明となった小柳宝大さん=当時(34)=の父親(65)も追悼式に参列。式終了後、「命ある限り、眠っているところに来るよ」と宝大さんに思いを寄せていたと話した。 会場には献花台が設けられ、町民や関係者らが訪れて花を手向けた。行方不明者の捜索に当たった羅臼町の漁師桜井憲二さん(60)は「(全ての行方不明者を)見つけてあげることができなくてとても残念だ」と絞り出すように語った。事故当時カズワンの運航会社「知床遊覧船」の関連会社に勤め、乗客家族の対応に当たったというホテル従業員の杉浦登市さん(62)は「事故に対する情報がほとんどなくなってきた」と危機感を示し、「遺族に寄り添わなければ、知床の観光は戻ってこない」と話した。 知床遊覧船の桂田精一社長(60)の姿はなく、会場に供花が届けられていた。