マングース根絶は大きな節目…世界遺産の奄美大島、貴重な生態系保全へ次の課題は?
奄美大島のマングース根絶を環境省が宣言した3日は、四半世紀にわたる駆除活動の大きな節目となった。「感無量だ」「自然と共生する島に」-。貴重な固有種が多い世界自然遺産の地にあって地元関係者は感慨に浸りつつ、生態系保全へ決意を新たにした。 【写真】「奄美大島のマングースをめぐる動き」を表で分かりやすく
奄美市の自然写真家常田守さん(71)は「根絶を実現した関係者には感謝しかない」と話す。マングースは長年、人が持ち込んだ外来動植物の象徴とされてきた。「一番の犠牲者とも言える。過ちを繰り返さないよう、行政は外来種を持ち込まない対策を徹底してほしい」と訴える。 希少種保護に携わる、NPO法人奄美野鳥の会の永井弓子会長(49)=同市=も歓迎する。マングースはさまざまな在来種を捕食して生態系に悪影響を及ぼしたと振り返る。「外来種の脅威はいつあるか分からない」と警鐘を鳴らし、「島民の意識が高まるよう啓発に力を入れたい」と語る。 近年はマングースが減る一方で「個体数の回復したアマミノクロウサギのロードキルが増えてきた」と指摘するのは、大和村企画観光課の江崎さとみ係長(40)。同村は来春、交通事故に遭ったクロウサギの治療や野生復帰、研究の拠点施設を開く計画だ。「保護活動に終わりはないと感じる」と気を引き締めていた。
南日本新聞 | 鹿児島