「クルマが戻ってこない」 VW、バッテリー部品不足で点検進まず 欧州
愛車が点検から戻らない 戦争で部品届かず
フォルクスワーゲン・グループのEV(電気自動車)の部品不足により、顧客は点検整備に出したクルマが返却されず困っている。バッテリーの温度管理に必要な熱伝導ペーストはウクライナ製で、ロシアとの戦争の影響で供給不足に陥っている。 【写真】「ドライビング」に焦点当てた個性派EV【クプラ・ボーンの内外装を写真で見る】 (28枚) 同グループ傘下でスペインの自動車ブランドであるクプラは、昨年7月に欧州で小型EV「ボーン」のバッテリー点検キャンペーンを実施したが、バッテリーケースを密閉するために必要な材料が届かなくなった。 整備工場でバッテリーケースを開けて部品をチェックしても、ウクライナ製の熱伝導ペーストの在庫切れにより再密封することができない。その結果、欧州では何十台もの車両が工場で立ち往生しており、グループ全体に影響が広がる可能性もある。 英国在住のEVオーナー、ジェリー・ホーキンスさんは遅延の影響を受けた1人だ。 「2022年9月に(ボーンを)新車で購入し、昨年10月にキャンペーンの通知を受け取りました。ディーラーにクルマを持ち込むと、バッテリーモジュールに問題があることがわかったんです」 「ディーラーでは適切な資格を持つ技術者がいないと言われたので、クルマをサウサンプトンの主要バッテリーセンターに送り、作業を依頼しました」 「しかし、この整備工場でモジュールを交換した後、バッテリーケースを密閉するために必要なペースト(ウクライナ製)の在庫がなくなり、いつ入荷するかわからないと言われました。保証を無効にしない限り、他の製品は使えないとのことでした」 「その結果、10月以来、最初はディーラーから、現在はVWグループから提供される代車に乗り続けています」 ディーラーも影響を受けている。英国の独立系ディーラー、EVエキスパーツ社の共同設立者のエステル・ミラー氏は取材に対し、商品として取り扱っていたボーンの1台を同じく点検キャンペーンでクプラの整備工場に送ったところ、バッテリー部品を待つために7週間も足止めされた後、最近ようやく戻ってきたと語った。 「整備工場では、部品を待っているボーンが他に16台あると聞きました。うちの分が戻ってきたのは幸運に思うべきですね」