大統領代行の弾劾訴追案可決 憲政史上初の事態、混迷深まる韓国政治
韓国の国会は27日、野党が提出した韓悳洙(ハンドクス)大統領代行(首相)に対する弾劾訴追案を賛成多数で可決した。韓氏は職務停止となり、崔相穆(チェサンモク)・経済副首相兼企画財政相が大統領代行と首相を兼ねる見通し。聯合ニュースによると、大統領権限代行を引き受けた首相まで弾劾訴追で職務が停止されたのは憲政史上初めて。韓国政治はさらに混迷を深めることになった。 【図解】尹氏に対する検察捜査の想定される流れ 崔氏は可決後、「国家の安全と国民の日常が揺るがないよう全力を尽くす」との談話を発表した。しかし、経済界などからはすでに「不確実性が高まった」などの憂慮の声が出ている。 弾劾案可決の正当性を巡っては採決後も与野党の対立は続いている。野党は、首相に対する可決ラインである国会議員の過半数の賛成で弾劾訴追は成立すると主張。一方、与党は、大統領代行である以上、大統領に対する可決の条件である3分の2以上の賛成が必要だと主張していた。 国会の過半数を占める最大野党「共に民主党」出身の禹元植(ウウォンシク)国会議長は27日、採決に先立ち「過半数の賛成」を基準とすると表明。与党「国民の力」の議員の大半が採決に参加しなかった。国民の力は27日、憲法裁判所に対し、韓氏に対する弾劾訴追は無効だとして効力停止を求める仮処分申請を行った。 野党は韓氏について、憲法裁判所の判事3人の任命を保留したことなどを違憲だと主張し、26日に弾劾案を国会に提出していた。 国会は、「非常戒厳」の宣布を違憲として尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の弾劾訴追案を14日に可決。尹氏は職務停止となり、首相の韓氏が大統領代行を兼任していた。【ソウル日下部元美】