【解説】緑黄色社会とは?メンバープロフィールや「花になって」歌詞考察に人気曲必聴ポイントも徹底網羅
3年連続紅白出場、2025年2月19日にはニューアルバム『Channel U』をリリースとバンドとしてのキャリアを充実させている緑黄色社会。メンバーの詳細プロフィールやヒット曲「花になって」の歌詞考察、さらには新曲含めた必聴曲など、彼らの魅力を余すことなく紹介していく。 写真:緑黄色社会ライブ&メンバーソロカット ■高校の同級生&幼馴染で結成したバンド ◎緑黄色社会(りょくおうしょくしゃかい) ・結成:2012年 ・通称:リョクシャカ ・メンバー:長屋晴子、小林壱誓、peppe、穴見真吾 ・ファンクラブ:milestone ・ファンネーム:ブロッ子 ◎バンド名の意味は? 結成経緯 高校の同級生で、バンド研究会に所属していた長屋晴子(Vo、Gu)、小林壱誓(Gu)、peppe(Key)、小林の幼なじみの穴見慎吾(Ba)により2012年に結成された緑黄色社会。バンド名は、長屋が飲んでいたジュースを見た小林が「緑黄色野菜」と言ったときに、他のメンバーが「緑黄色社会?」と聞き間違えたというエピソードに由来しているという。 ◎緑黄色社会の歩み 2013年に10代限定の音楽フェス『閃光ライオット』で準グランプリを獲得。2018年に初のフルアルバム『緑黄色社会』を発表。2019年11月にはオフィシャルファンクラブ『milestone』を開設し、2020年4月にアルバム『SINGALONG』を発表した。なお、ファンネームはブロッコリーに由来する“ブロッ子”。メンバーとファンの絆の強さもリョクシャカの躍進を支えている。 ◎累計再生回数4億を突破した「Mela!」のヒット 着実な歩みでバンドを成長させてきた緑黄色社会の名が広く知られるようになったきっかけは「Mela!」のヒットであろう。日本テレビ系朝の情報番組『スッキリ』(※2023年3月31日放送終了)内の企画「ひとつになろう!ダンスONEプロジェクト’20」の課題曲に起用され、ストリーミング累計再生数4億回を超える(※2024年7月27日時点)など、幅広い層のリスナーを獲得した。 ◎バンド結成10周年で初日本武道館&初紅白出場を飾る アルバム『Actor』をリリースした2022年。バンド結成10周年を迎えた彼らは初の日本武道館ワンマンライブ『緑黄色社会×日本武道館“20122022”』を開催。さらに『第73回NHK紅白歌合戦』にも初出場し、「Mela!」を披露した。 ◎ライブ&新曲と多忙を極める日々 2023年にはアルバム『pink blue』を発表。全国ホールツアー『pink blue tour 2023』を行ういっぽう、フェスやイベントにも精力的に出演し、質の高いステージで音楽ファンを魅了した。また、森七菜&間宮祥太朗のダブル主演で話題を集めたフジテレビ系月9ドラマ『真夏のシンデレラ』主題歌「サマータイムシンデレラ」やTVアニメ『薬屋のひとりごと』オープニングテーマ「花になって」など、ストリーミング再生1億回を超えるヒット曲を連発。 さらに、2023年12月から2024年1月にかけては初のアリーナツアー『リョクシャ化計画2023-2024』を成功させ、その後にはライブハウスツアー『緑黄色社会 Live House Tour “Laugh”』を実施。ライブバンドとしての存在感もこれまで以上に強めた。そして、2024年の締めくくりとして『第75回NHK紅白歌合戦』への出場も決定(※初出場から3年連続での紅白出場である)。2025年2月19日には待望のニューアルバム『Channel U』のリリースと、ますます勢いづいていく。 ----- ■緑黄色社会メンバーの詳細プロフィール ◎長屋晴子(ながや はるこ) ・担当:ボーカル、ギター ・生年月日:1995年5月28日 ・出身地:愛知県 ・影響を受けたアーティスト:いきものがかり、大塚愛、aikoなど 表情豊かなボーカルで、緑黄色社会の音楽的な芯を担っている長屋晴子。10代の頃からいきものがかり、大塚愛、aikoなどのJ-POPに傾倒し、歌手を目指した。デビュー後はバンドのフロントマンとしての才能を開花させ、華やかでエモーショナルなパフォーマンス、リアルな思いを込めたMCなどによって、オーディエンスを惹きつけている。中学時代は吹奏楽部に所属し、トロンボーンを担当。東京スカパラダイスオーケストラの「青い春のエチュードfeat.長屋晴子」でトロンボーンを演奏したことでも話題を集めた。また、DISH//「ニューノーマル」、吉岡聖恵(いきものがかり)「凸凹」、大原櫻子「透ケルトン」への楽曲提供を行っている。 ◎小林壱誓(こばやし いっせい) ・担当:ギター ・生年月日:1996年2月11日 ・出身地:愛知県 ・影響を受けたアーティスト:BUMP OF CHICKEN、Mr.Childrenなど 実家がダンススタジオで、幼少期からダンスを習っていたという小林が“バンド”に目覚めたきっかけは、ボウリング場でたまたま観たYUI「again」のMV。その後、YUIのライブに足を運び、ミュージシャンのカッコ良さに引きつけられた小林は、BUMP OF CHICKENとの出会いで一気に音楽にのめり込んだ。元々はボーカル志望だったが、長屋と出会ったことでギタリストになることを決めたという。多彩なギタープレイ、ソングライティングのセンスはもちろん、コーラスやボーカルでもバンドのなかで大きな役割を果たしている。得意のダンスを活かし、「Bitter」のMVの振付を手がけるなど多才ぶりを発揮。自身のSNSでは不定期でギターの弾き語り動画をアップすることも。 ◎peppe(ぺっぺ) ・担当:キーボード ・生年月日1995年12月6日 ・出身地:愛知県 ・影響を受けたアーティスト:SMAP、DREAMS COME TRUE、テイラー・スウィフトなど 「ブレス」「キャラクター」「あのころ見た光」といったリョクシャカの人気楽曲を手がけるなど、コンポーザーとしての資質を備えたpeppe。2歳の頃からピアノを習い、クラシックのコンクールへの出場経験を持つなど、高いスキルと表現力を併せ持ったプレイヤーだ。ピアノとシンセを巧みに使い分けながら楽曲に彩りや深みを与えるプレイは、音源のレコーディングはもちろん、ライブでも重要なファクターとなっている。ポップスのルーツは、SMAPやDREAMS COME TRUEなどの王道J-POP。彼女の親しみやすいポップセンスもまた、緑黄色社会の大きな魅力だと思う。プライベートでは、自身が敬愛する俳優の鈴木亮平が取得したことで存在を知り、興味を持ったという世界遺産検定を受験。2019年に7月に1級を取得したことを発表。根底には“世界と繋がりたい”という思いがあるとのこと。 ◎穴見真吾(あなみ しんご) ・担当:ベース ・生年月日:1998年1月27日 ・出身地:愛知県 ・影響を受けたアーティスト:Red Hot Chili Peppers、Oasis、亀田誠治など バンド最年少の穴見真吾は、ムードメイカー的な存在だ。ベースを始めたきっかけは、中学2年生の時に観たRed Hot Chili Peppers(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)の「By The Way」のライブ映像。フリーのプレイで観客のテンションがブチ上がる瞬間を目の当たりにし、「カッコ良い!」と衝撃を受け、ベースのスキルを磨いていった。指弾き、ピック弾き、スラップなど幅広い奏法を身に着け、幅広いジャンルを網羅できるのが穴見の特長。ステージでもド派手なプレイでオーディエンスを魅了している。また「サマータイムシンデレラ」「花になって」などのシングル曲の作曲を手がけるなど、音楽的な貢献度も極めて高い。2024年2月、同じくベーシストの石渡マキコ(the peggies/無期限活動休止中)との結婚を発表し、フェンダーのベースを掲げたウェディングフォトを公開。 ----- ■『THE FIRST TAKE』で「花になって」披露 12月6日公開の『THE FIRST TAKE』第499回目に登場した緑黄色社会は、「花になって」をパフォーマンス。TVアニメ『薬屋のひとりごと』オープニングテーマとして制作された「花になって」は、作詞を長屋晴子、作曲を穴見真吾が担当。大陸的なイメージを想起させるエキゾチックな音像、疾走感貫くビート、壮大なメロディラインが共鳴し合う、スリリングかつポップな楽曲だ。メンバーそれぞれのプレイヤビリティ―はもちろん、メタリックなギター、ドラムンベース的なリズムが取り入れられるなど、挑戦的なファクターもたっぷりだ。 ◎テーマは“自己愛” 「花になって」の歌詞は自己愛をテーマに、“花になって ほらニヒルに笑って”というサビのフレーズを含め、緑黄色社会のあらたなクリエイティブをしっかりと実感できる。同曲で歌われる“花”とは、自分自身がいちばん輝くこと。例えば、“誰にも邪魔されず華麗に咲いている”は、自分自身がいちばんの理解者として自分に寄り添うことができているのであればいいのだと解釈することができる。また、“綺麗にされた花瓶も肥やしも何もいらない/その姿が美しい”というのは、そのままの自分を受け入れていいのだとさりげなく背中を押されているようなぬくもりを感じる言葉でもある。 ◎『薬屋のひとりごと』に寄り添った言葉 加えて、『薬屋のひとりごと』の観点から同曲を聴くと、毒と薬に執着を持つ主人公・猫猫(マオマオ)を指すような、世間一般の価値観よりも自身の心がいかに突き動かされるかを尊重するさま(=自己愛へと通ずる)や“味見して 君の毒は私の薬って”“包んであげるから 笑って”などの“薬”にまつわるキーワードが散りばめられているのもポイントだろう。また、猫猫の洞察力を買い、一目置く壬氏(ジンシ)から見た猫猫を描いているようにも感じられ、様々な解釈で楽しむことができるのも奥が深い。 ◎『THE FIRST TAKE』でしか観ることのできない特別アレンジ 『THE FIRST TAKE』では、黒の衣装に身を包んだ長屋が「何度もこの『THE FIRST TAKE』には出演させてもらってるんですけど、またあらたな表現の場を与えてもらえることがすごくうれしいです」とコメントし、パフォーマンスへ。冒頭は長屋の手拍子とサポートミュージシャンによる和太鼓と二胡の音。大陸的なイメージを増幅させる音色と小林、穴見、peppeのプレイが有機的に絡み合い、『THE FIRST TAKE』だけのアンサンブルが立ち上がる。パフォーマンスの中心を担っているのは、やはり長屋の歌声だろう。起伏に富んだメロディを生々しく描き出しながら、“愛してあげるから 笑って”という挑発的なフレーズを響かせるボーカリゼーションには、ぞくっとするような美しさ、激しさ、妖しさが宿っている。 ----- ■なぜ人気?緑黄色社会の魅力 音楽性をどんどん広げながら、幅広いリスナーを魅了し続ける緑黄色社会。彼らがこれほどまでに愛される、その人気について考えてみる。 まずは楽曲のバラエティの豊かさについて。ロック、ファンク、歌謡、ソウル…など、多彩な要素を取り入れながら、誰もが楽しめるポップミュージックへと昇華。それを支えているのが、“メンバー全員が作曲家”という特長だ。メンバー同士の共作も多く、さらにカラフルな音楽性へと結びついている。 演奏力の高さもまた緑黄色社会の魅力であり、多様な楽曲を生み出す原動力になっている。個性とスキルを兼ね備えた小林、穴見、peppe、サポートドラムの比田井修が生み出すスリリングでポップな演奏は、ライブでその真価を発揮。『緑黄色社会 Live House Tour“Laugh”』でも、ライブバンドとしてのさらなる進化を見せつけた。 主に長屋、小林が手がける歌詞も、たくさんのリスナーの共感を呼び起こす大事なポイント。リアルな感情をもとにしながら、キャッチ―で耳に残るサビのフレーズ、メロディとの絡みが心地いい語感、映像を想起させる表現、深読みしたくなるストーリー性がバランスよく共存している。緑黄色社会の楽曲がしばしばロングヒットになるのは、聴き返すたびに発見がある歌詞の魅力によるところが大きい。 ----- ■ここが良い!人気曲の聴きどころ 「馬鹿の一つ覚え」 2024年11月13日に配信リリースされたばかりの映画『六人の嘘つきな大学生』主題歌。ファンキーかつエッジーでポップ、インパクトのある曲名通りのリョクシャカの“ヤバさ”と“楽しさ”がせめぎ合うアッパーチューンだ。嘘をモチーフにした歌詞は、嘘をついたことのあるすべての人をドキッとさせるフレーズがたっぷり。しなやかなスラップベース、鋭利なギターカッティング、セクシーな雰囲気のキーボードなど、メンバーそれぞれの個性的なプレイにも注目してほしい。 「サマータイムシンデレラ」 フジテレビ系月9ドラマ『真夏のシンデレラ』主題歌として書き下ろされた、夏の海辺を舞台にしたピュアな恋愛ストーリーにぴったりの王道ラブソング。言葉にできない想いだけが募り、「好き」を伝えられない──そんな思いを描いた歌詞は、世代を超え、幅広い年齢層のリスナーの甘酸っぱい感情を呼び起こすはず。切なくて愛らしいピアノからはじまるサウンド、恋の瑞々しさ、どうしようもなさを映し出す歌声など、楽曲の世界観を際立たせるパフォーマンスも絶品。 「ミチヲユケ」 日本テレビ系 水曜ドラマ『ファーストペンギン!』主題歌。緑黄色社会の強さ、がむしゃらさがまっすぐに表現されている。その中心を担っているのは、“道なき道を行け”“この際未知を行け”というフレーズ。“ミチ”に“道”と“未知”のふたつの意味を重ねることで、常識や既存のスタイルに捉われれず、自分たちのあらたな表現に突き進む覚悟を描いているのだ。ロック、ジャズ、レゲエなどが混ざった、アグレッシブなアレンジも素晴らしい。 「恥ずかしいか青春は」 ABEMA『今日、好きになりました。』2024年7-12月主題歌。こじらせて、やり過ぎて、ヒネくれて、それでもやるしかなくて…そんな若き日々を“守り抜いた青春が/何よりもの贅沢だ”という歌詞で全肯定してくれるポジティブソング。思春期真っ只中の人はもちろん、大人になってしまった人たちにも熱くて恥ずかしい時代を思い起こさせてくれる。それを象徴しているのが、エモく響くギターサウンドだ。 「僕らはいきものだから」 「第91回(2024年度)NHK全国学校音楽コンクール」中学校の部 課題曲。大人になんかなりたくない! と思っても、身体は変化するし、誰もが必ず年を取る。それを受け入れ、自分と向き合ったときに初めて、私たちは“生”の素晴らしさを実感しはじめる──。主に中学生に向けられた楽曲だが、生きることの本質を高らかに歌い上げた讃歌としての風格を備えている。核になっているのは、まさに“いきもの”のように躍動するボーカルだろう。 ----- ■今後も緑黄色社会の活躍に目が離せない 『第75回NHK紅白歌合戦』出場が決定したことで、初出場から3年連続の紅白出場を控える緑黄色社会。2025年2月にはニューアルバム『Channel U』を発表し、3月からは全国ホールツアー『Channel U tour 2025』がスタート。さらなるステップアップを続ける緑黄色社会から目が離せない。 TEXT BY 森朋之
THE FIRST TIMES編集部