甲子園、ビアガーデン、夏野菜…猛暑で「夏の風物詩」消滅の未来図も? WWFジャパンが東京・渋谷で企画展
8月18日まで、世界自然保護基金(WWF)ジャパンが開催するイベント「夏の風物“止”展」が、東京・渋谷ヒカリエ 8/COURTで開催されている。 【写真】日本発の太陽電池として期待される「プロブスカイト太陽電池」 今年も全国的に猛暑が続いているが、「地球沸騰化時代」とも言われる今、この先も同程度もしくはそれ以上の暑さが続けばどうなるのか。同イベントは、「夏の風物詩」に目を向けることで、訪れた人へ地球温暖化(気候変動)や再生可能エネルギーについて考えるきっかけを与えるものとなっている。
甲子園、ビアガーデン、夏野菜…猛暑で受ける「影響」は?
「夏の風物詩」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。たとえば、現在開催されている夏の甲子園(全国高等学校野球選手権大会)。昨年から熱中症対策として、選手たちが5回終了後にベンチ裏の涼しいスペースで10分間休息する「クーリングタイム」が、今年は大会3日目まで、試合を午前と夕方に行う「2部制」が導入された。ところがその対策にも関わらず、現在、試合中に足をつり、熱中症と診断される選手が続出するなど事態が発生している。 WWFジャパン気候・エネルギーグループの吉川景喬氏は、次のように話す。 「地球温暖化にともなって熱中症も増加傾向にあり、昨年5~9月には全国で約9万人の方が搬送されました。今後、夏の気温の上昇にしたがって、熱中症の患者数も増えていくことが予想されています。気温上昇を放置していては、真夏の高校野球のあり方も大きく姿を変えるかもしれません」 また、猛暑の影響でここ数年、野外のビアガーデンに行く選択肢をとらない人も増えたのではないだろうか。実はビアガーデンへの影響は、単純な気温の問題だけにとどまらない。 「夏の野外といえば蚊がつきものですが、デング熱を媒介するヒトスジシマカ(いわゆるヤブ蚊)の分布域はすでに青森県まで北上しています。気温上昇にともなって活動できる期間も長期化しており、国内に持ち込まれた感染症を蚊が媒介してしまう恐れもあるのです。 外出時にはこれまで以上に蚊に刺されないよう対策をしなければならず、ビアガーデンを楽しんでいる場合ではなくなる可能性があります」(WWFジャパン・吉川氏) さらに、食卓を彩る夏野菜が“遠い存在”になる未来もあり得るという。 「温暖化にともなって気温上昇のほか、降水パターンも変化します。野菜・果物の生育障害や品質低下はすでに起きており、将来も影響を受けていくことが報告されています。これが加速すると、生産量が減って価格が押し上げられ、これまで身近な存在だった野菜や果物に手が届かなくなってしまう…ということがないとは言えません」(同前) 会場には、温暖化の影響によって“姿を変えるかもしれない”夏の風物詩20点がパネル展示されている。