【甲子園】聖地で確かな足跡を残した小松大谷 エース西川大智は「今後の野球人生につなげたい」
明豊、大阪桐蔭を破って
【第106回全国高等学校野球選手権大会】 3回戦 8月17日 第3試合 智弁学園(奈良)6-3小松大谷(石川) 小松大谷は1回戦で甲子園常連校の明豊(大分)を8対4で撃破して、悲願の聖地1勝。2回戦では出場するたびに「西の横綱」と言われる大阪桐蔭を3対0で下した。 智弁学園との3回戦を控え、小松大谷・西野貴裕監督はチームの雰囲気について明かした。 「もっと『よっしゃー!』となるかと思いましたが、しれっとしている(苦笑)。マイペースやな、と思いました。周りのほうが(反響が)大きかったです。多くの方からご連絡をいただきましたが、返しきれていないです」 先発は1回戦を6回4失点で勝利投手、大阪桐蔭との2回戦を92球で5安打完封した右腕・西川大智(3年)ではなかった。 相手打線を細部まで分析し、チーム戦略上、西野監督はエースを起用しなかった。 「監督の判断。自分から言えることはありません。途中、ベンチのすぐそばで『いつでも行ける』と独り言を言ったりしましたが……。5回のクーリングタイム後、ブルペンで作るように言われました」 小松大谷は初回に1点を先制され、2回表に一度は勝ち越すも、中盤に智弁学園の猛攻に遭った。守備も乱れるなどして失点を重ね、主導権を握られた。西川は7回裏途中、走者を背負った場面から救援。「エースとして流れを呼び込む投球を心がけた」。後続を抑え、8回も無失点に抑えた。4点を追う9回表に1点をかえすも、反撃はそこまでだった。 試合後、西川は明かした。 「大阪桐蔭を倒して、舞い上がった部分があった」 試合前日のミーティングでもう一度、気持ちを引き締めたという。主将・東野達(3年)はあえて、厳しい言葉をメンバーにぶつけた。 「大阪桐蔭に勝ったからと言って、何も手にしていない。優勝旗もない。甲子園で3試合をさせていただけるということだけだ」 あくまでも目標は「全国制覇」。部員全員で立ち向かったが、力及ばなかった。とはいえ、石川大会では今春のセンバツ出場の日本航空石川、星稜を撃破しての甲子園出場。3回目の夏で明豊との1回戦で悲願の全国初勝利を挙げると、V候補・大阪桐蔭を撃破し、小松大谷は確かな足跡を残したと言える。 「力も、雰囲気も、相手もトップレベルで楽しい野球ができた。野球の楽しさを味わえた。甲子園で多くを学ばせていただいたので、今後の野球人生につなげていきたい」 西川は高校卒業後、関東の大学で野球を続けたい思いがある。西野監督は「投球のうまさに加えて、ボールが強くならないと大学では通用しない」とエールを送った。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール