AI活用とサステナビリティを両立させる効果的な方法
■AIで業務効率の向上とサステナビリティを実現する 2020年、マイクロソフトは「プラネタリーコンピューター」というイニシアティブを発表した。地球規模で環境データを収集し、持続可能なソリューションに利用することを目的とした一大プロジェクトだ。環境保護団体と提携し、最先端のAI(人工知能)アルゴリズムを活用することで、マイクロソフトは生物多様性の損失から気候変動まで、地球の最も差し迫った環境問題に取り組むことを目指している。この先進的なプロジェクトは、企業責任の一例であるだけではない。AIとサステナビリティを現代のプロジェクトマネジメントの基幹とする、広範なパラダイムシフトを示す重要なマイルストーンとして位置づけられている。 プロジェクトが仕事と価値創造の主要な構成要素となっている今日の「プロジェクトエコノミー」では、従来のプロジェクトマネジメントのパラダイムが根本的に転換しつつある。サステナビリティはもはや「あるとよいもの」ではない。プロジェクトが完了した初期段階や、プロジェクトの成果物がその寿命の限り利益を提供し続ける上でも、成功に不可欠な基準となっている。マイクロソフトのような企業が実証しているように、AIとプロジェクトマネジメント、そして(環境的、社会的、財政的領域における)サステナビリティが交差するところに、かつてない機会が生まれている。 サステナビリティ目標を達成するためのAIとプロジェクトマネジメントの融合は、適切に実行しなければ、私たちが削減を目指す二酸化炭素排出量を増加させるおそれがある。AIの計算能力を活用し、コストや環境への影響という点で不利益が生じないようにサステナビリティ目標を達成するにはどうすればよいのか。そこで登場するのが、業務効率の向上と、サステナビリティの優先という、両者を実現するために設計されたAI「グリーンアルゴリズム」だ。 ■複雑性、コスト、二酸化炭素 プロジェクトマネジメントは常に、スコープ(範囲)、時間、予算、利益の微妙なバランスを保つ必要がある。プロジェクトの環境的、社会的、人的影響を測定することで、複雑さは増す。プロジェクトマネジメントのためのAIツールはこうした懸念に対処するのに役立つ可能性があるが、AIの導入が理論から現実のものとなるにつれ、3つのより重要な課題が浮上する。それがAI導入の複雑性、コスト、二酸化炭素に関する問題だ。