多彩なソングライティングを展開したReiの新作『VOICE』
Reiさんの通算10作目となる7曲入りミニアルバム『VOICE』。ハマ・オカモトさん(OKAMOTO’S)や石若駿さん、TAIHEIさん(Suchmos/賽)といったおなじみのアーティストに加え、自身の音楽を「アグレッシブ・エレベーター・ソウル」と称し、80年代の邦楽やシティポップにも造詣が深いことでも知られるキャメロン・ルーのソロプロジェクト、Ginger Rootが参加。Reiさんのサウンドのシグネチャーであるシャープなギターリフが随所に聴こえながらも、軽やかで柔らかいオルタナティブポップやシティポップ、カントリーの存在感が強い作品になっている。ミニアルバムのことに加え、毎作こだわり抜いているアートワークやミュージックビデオについても聞いた。
──『VOICE』というタイトルにはどんな思いが込められていますか? “声”をテーマにして制作しました。声には歌という意味もありますし、声を上げて本音を言ったり、自身のメッセージを表現するという意味も込めたタイトルです。 ──全体的にオルタナティブポップやカントリーといった軽やかで柔らかいサウンドが印象に残りましたが、意識されたのでしょうか? 繊細な心の内を表現したいなと思い、水彩画やジョルジュ・スーラのような風景画をイメージしながらアレンジをしていきました。私はシンガー・ソングライター/ギタリストという肩書きで活動させていただいていますが、ギタープレイを好いていただくことが多く、それはすごく光栄ではあるのですが、歌手であり作家であるというところも自分の大切なアイデンティティーです。よりそこの部分を伝えられる作品を作りたいという気持ちがありました。その中で、自分のもろい部分や弱い部分をリアルに描くことによって、リスナーにとって身近な存在になれるんじゃないかという気持ちが生まれました。 ──まさに繊細さや弱さが綴られてはいますが、サウンドが軽やかで柔らかいので、全く重さは感じなかったです。 例えばジェフ・バックリーの「グレース」や「リリイ・シュシュのすべて」といった憂いのある内省的な作品も大好きなんですが、自分の歌の魅力を伝える中で新しいリスナーの方に出会いたいという気持ちがありました。内容としてはすごくパーソナルですが、矢印が外に向かっている作風やサウンドの方が届きそうな気がしたんです。