日銀マイナス金利解除に戦々恐々…世帯年収800万円の30代共働き夫婦、が絶句した「5年後の住宅ローン返済額」【FPが解説】
2024年3月19日、日本銀行は金融政策を決める会合で、マイナス金利政策を解除する見直しを決定しました。マイナス金利解除で多くの消費者が最も気になる点としては、今後、住宅ローン金利がどうなるかというところでしょう。本記事では、Aさんの事例とともに金利の付く世界における変動金利について、FP1級の川淵ゆかり氏が解説します。 【早見表】3,000万円30年返済の住宅ローン…金利差による利息分
「金利は上がらない」って言ったのに…“金利の付く世界”を知らない30代夫婦の不安
Aさん夫婦は33歳で同い年、世帯年収800万円の共働きです。昨年、35年の変動金利型ローンを利用してマンションを購入しました。しかし、日本銀行の3月19日のマイナス金利解除決定のニュースを聞いて、戦々恐々としています。 「借りたときは、日本は金利なんて上がらないですよ、って言われたから勧められたローンをそのまま契約したのに、ひどいよ」とAさん夫婦は言います。 日本の住宅ローン金利は30年以上も前から下がり続け、Aさんのような若いご夫婦には、住宅ローンの金利が5%や6%の時代があったことは信じられないでしょう。ですが、金利については、いつ、どうなるか、なんてわかりません。「絶対、上がらない」とは断言できないのです。 いえることは、いままでのローン金利が底だった、ということです。底だったので、上がることはあってもこれ以上下がることはありません。そのため、「万が一、上がったら」ということを考えて計画しないといけません。 金利の基礎知識 日本の金利が諸外国よりも低いと円安になります。円安になると、食料品などの輸入品の価格が上がります。日本の金利が上昇すると、円高になって物価は落ち着くかもしれませんが、ローンの返済額は増えます。悩ましいところですね。また、債券価格も金利に影響します。たとえば、国債の価値が下がってしまうと、金利は上昇するのです。 住宅金融支援機構が公表した「住宅ローン利用者の実態調査」によると、利用した住宅ローンの金利タイプは、 ・変動金利型……74.5% ・固定期間選択型……18.3% ・全期間固定型……7.2% となっており、変動金利型ローンの根強い人気がわかります(2023年10月調査 2023/4-2023/9)。変動金利型ローンを選択する理由としては、やはり金利の低さが魅力で、それにより借入可能額が大きくなることです。 マンション価格の高騰は続いており、建築材料や人件費も上がっていますから、住まいを手に入れるには高いハードルとなっています。少しでも借入額を大きくしたり、返済額を少なくしたりするために変動金利型を選択する人も多いのでしょう。 さて、Aさん夫婦の住宅ローンの返済額はどのくらい変わるのでしょうか。変動金利型ローンの特徴を押さえて、いろいろとシミュレーションしてみましょう。
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