「死ぬような力ではない」 マンションの隣人暴行死、男が起訴内容一部否認 金銭管理して支配か
堺市中区のマンションで隣人男性に暴行を加えて死亡させたなどとして、傷害致死などの罪に問われた無職、楠本大樹被告(34)の裁判員裁判初公判が13日、大阪地裁堺支部(藤原美弥子裁判長)で開かれた。楠本被告は暴行したことは認めつつ「人が死ぬような力で殴ったことはない」と起訴内容を一部否認。弁護側も楠本被告の暴行と男性の死亡の因果関係を否定した。 事件を巡っては、市の一部職員が、死亡男性が生活保護費の大半を楠本被告に渡すのを確認しながら容認し、暴行も目撃していたのに通報しなかったことが発覚。市の検証委員会は「(死亡は)不適切な対応が積み重なった結果」と指摘した。 堺市は楠本被告に生活保護費を不正支給したとして、50代の元職員=背任罪で罰金30万円の略式命令=を懲戒免職としたほか、別の職員3人も停職3カ月などの懲戒処分にしている。 起訴状によると楠本被告は令和4年11月、無職、唐田健也(たつや)さん=当時(63)=の肋骨(ろっこつ)を折る暴行を加え、死亡させたとしている。検証委などによると、楠本被告は金銭を管理するなどして「支配―被支配」の関係を構築していたという。