株高はスタグフレーションのリスクにさらされている-ハートネット氏
(ブルームバーグ): 米利下げへの期待から投資家の楽観は2年半ぶりの高水準に達しているが、スタグフレーションのさらなる兆候が現れれば株価は下落するだろうと、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジスト、マイケル・ハートネット氏が指摘した。
BofAの調査に答えたファンドマネジャーの過半数は、2024年後半の米利下げを見込んでいる。そのため、現金の水準、株式への配分、経済成長期待の組み合わせが示すセンチメントは、2021年11月以来の高水準にある。
ファンドマネジャーは21年11月以降最も強気、利下げ観測けん引-調査
一方、経済成長と企業収益の見通しは今年初めて悪化したという。「リスク資産はスタグフレーションのさらなる証拠に対して脆弱(ぜいじゃく)だ」とハートネットはリポートで指摘した。
S&P500種株価指数が3月に史上最高値を更新した後、成長鈍化の兆候とインフレの粘着性を受けて米国株の上昇ペースは鈍化している。15日発表の米消費者物価指数(CPI)がスタグフレーション懸念を高めるか、払拭(ふっしょく)するのに役立つか、トレーダーらは注視している。
調査によると、世界経済成長への期待は昨年11月以降で初めて低下し、回答者の9%が今後1年の間に景気が減速すると予想。それでも、約78%が同期間内にリセッション(景気後退)が起こる可能性は低いとみている。
調査対象のファンドマネジャーの総資産に占める現金の割合は3年ぶり低水準、株式への配分は2022年1月以来の高水準だった。
インフレ加速は依然として投資家にとって最大のテールリスクで、地政学と経済のハードランディングがそれに続く。調査は5月3-9日にかけて、合計運用資産5620億ドル(約87兆9000億円)の209ファンドマネジャーを対象に実施した。
原題:BofA’s Hartnett Warns Stock Rally Is Exposed to Stagflation Risk(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Julien Ponthus, Sagarika Jaisinghani