プレーオフ進出を決めたベルテックス静岡 加納誠也主将が独占手記…持病のある長男のため静岡移籍を決断
◇B2リーグ 第32節 ベルテックス静岡75ー68福岡(21日・照葉積水ハウスアリーナ) ベルテックス静岡が今季リーグ最終戦でプレーオフ(PO)最後の1枠を自力でつかみ取った。福岡を75―68で下し、西地区4位でワイルドカード2位を確保。B2昇格1年目で悲願のPO切符をつかんだ加納誠也主将(35)が、独占手記で喜びをつづった。 かつて、お世話になった古巣の本拠でPOの切符をつかめて、めちゃくちゃうれしい。しかも、今季リーグ最終戦で決められて、この上ない喜びです。 開幕前、カーディング(対戦カード)が発表されてまっ先に確認したのが、福岡とのアウェー戦だった。4年間在籍したチーム。個人的にB2昇格して、やっと対戦できると楽しみにしていたら、最終節だった。そんな試合がPO進出の懸かった大一番になるなんて本当、運命的。プレー中、応援している人に成長している姿を見せたいと思って戦った。その空間で目標を達成できたことが最高だ。 ずっと苦しいシーズンだった。昇格1年目で主将を任された。期待半分、不安半分で開幕。前半は予想以上に勝てたが、途中からは負けが込んだ。特に、年末年始にかけての連敗(5連敗)はつらい時期だった。 負けが続くと、どうしてもチームに不満が出てくる。でも、「勝ちは全員の勝ち。負けは全員の負け」。だれかのおかげで勝ったわけではなく、だれかのせいで負けたわけでもない。ミーティングで僕が何回も選手に話をしたが、橋本(尚明)や大塚(勇人)らベテランが、ひとつの方向に導いてくれたのが大きかった。 ベルテックスに加入して4年目。移籍の際、色々な選択肢はあった。一番最初に声をかけてくれたということもあるけど、持病のある長男・大誠の存在が大きな理由だった。先天性「右室低形成」で心臓に疾患があり、生死をさまよって生まれてきた息子のため、全国的に評判の高かった「県立こども病院」のある静岡を選んだ。 子どもがお世話になっている病院には月1回ほど慰問に訪れて子どもたちとバスケを通じて触れあう機会をつくってもらっている。病気の子たちを励まそうと始めたけど、今ではこっちが元気をもらう。移籍してきた時、まだ小さかった息子も今春から小学1年生。みんなと同じような運動はできない体だけど、今はベルテの大ファン。ホーム戦は毎回見にくるから、頑張らないといけない、という思いにさせてくれる一番の存在だ。 ここまでこれたのは、チームだけでなく、応援してくれるスポンサーさんやブースターのおかげ。特に、今年のホーム戦では、多くの声援で僕らの背中を押してくれて感謝します。次は、POでA千葉が相手。今季4戦全敗だけど、トーナメントは何が起こるか分からない。勢いは間違いなくうちの方が上。諦めずに戦うので、引き続きベルテックスの応援をよろしくお願いします。(ベルテックス静岡主将・加納 誠也)
報知新聞社