小説家・凪良ゆうが思わずうなずいた「小川哲の文章」
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(12月14日放送)に小説家の凪良ゆうが出演。本を書くときの感覚について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。12月11日(月)~12月15日(金)のゲストは小説家の凪良ゆう。4日目は、本を書くときの感覚について― 黒木)今年(2023年)、『汝、星のごとく』で2度目の本屋大賞を受賞された凪良ゆうさんですが、小説家と呼ばれることに対してはどのように受け止めていますか? 凪良)自分がそう呼ばれていいのだろうかと……。 黒木)謙遜していらっしゃる。 凪良)先日読んだばかりなのですが、小川哲さんの『君が手にするはずだった黄金について』という小説のなかに、こんな文章があるのです。 ―– 「作家は、むしろなんの才能もない人間のために存在する職業だ」 ~『君が手にするはずだった黄金について』(小川哲/新潮社/2023年)より ―– 黒木)えー、何それ!? 凪良)私はそれにうなずいてしまったのです。そのあと、こう続いています。 ―– 「普通の人が気にせず進んでしまう道で立ち止まってしまう愚図な性格や、誰も気にしないことにこだわってしまう頑固さ、強迫観念のように他人と同じことをしたくないと感じてしまう天邪鬼な態度。小説を書くためには、そういった人間としての欠損――ある種の『愚かさ』が必要になる。何もかもがうまくいっていて、摩擦のない人生に創作は必要ない」 ~『君が手にするはずだった黄金について』(小川哲/新潮社/2023年)より ―– 黒木)なるほど。 凪良)私は小さいころから寂しい境遇だったので、物語は別の世界に連れて行ってくれる、いちばん身近な手段の1つでした。 黒木)子どものころから本屋さんが好きで、よく本屋さんに行っていらしたと。 凪良)家に帰っても家族がいなかったので、寂しくなったり人恋しくなったりすると近所の本屋さんに行っていましたね。本屋さんが近くにあって幸せだったな、よかったなと思っています。 黒木)本屋さんに入ると独特のいい香りがしますよね。 凪良)そうですね。