うまさに力強さ加えた若隆景、「下から」大の里を攻略 大相撲九州場所6日目
○若隆景(押し出し)●大の里(大相撲九州場所6日目=15日) 大きく乱れたまげは、信条とする「下からの攻め」を完遂した証しだった。わずか5秒、若隆景は新大関大の里を真っ向から土俵の外へと押し出した。 立ち合いは鋭く、先に踏み込んだ。すぐに押し返されたものの、左から押っ付けて相手得意の右は差させず、低い前傾姿勢も崩さない。根負けした大の里がはたくと、その瞬間を待っていたかのように若隆景は素早く前に足を送り、勝負を決めた。 「下からという意識で取りました。前に出られたので良かったと思います」 右膝に大けがを負ったのが昨年の春場所。番付は一時、幕下まで落ちた。この日、結びの一番で大歓声を浴び、幕内上位まで戻ってきたことを改めて実感したという。 大の里戦は先場所に続き2連勝だ。相撲内容は今場所の方がよかったが、それは偶然ではない。師匠の荒汐親方(元幕内蒼国来)は「体重は今までで一番重い。140キロくらいあるんじゃないかな。正面からの相撲を稽古してきている。正面から勝負できると思う」と弟子の成長を見て取っていた。 もちろん体が大きくなれば、膝への負担は増す。親方によると、若隆景はトレーナーを東京から福岡に呼び、場所中も毎晩、宿舎に帰ってから入念に体をケアしている。 「また明日があるんで、集中して取っていきたいと思います」。持ち前のうまさに力強さが加わった相撲で白星を重ねていく。(宝田将志)