「ドアを開けたら、くの字になって倒れていた」遺体の第一発見者はヘルパーだった…孤独死を支えきれない訪問介護、その深刻な〝綱渡り〟
▽報酬引き下げ、増える倒産 訪問介護は現在、危機的な状況に置かれている。国は2024年度の介護報酬改定で、訪問介護の基本料を引き下げた。これにより、特に離れた家やアパートを一軒ずつ訪問する事業所は深刻なダメージを受けている。 東京商工リサーチによると、1~8月の介護事業者の倒産は、介護保険法が施行された2000年以降、過去最多となる114件を記録。うち、訪問介護事業者の倒産は55件に上った。訪問介護が危機的な状況で、懸念されるのが誰にもみとられずに最期を迎える孤独死の増加だ。 ▽「見守りの役割は担えない」 警察庁は全国の高齢者の孤独死は今年1~6月、2万8330人だったと発表した。自宅で亡くなった1人暮らしの高齢者3万7227人(暫定値)の76%が孤独死した計算になる。 訪問介護事業所代表のAさんによると、利用者の多くは倒れてすぐに亡くなるわけではない。自力で起き上がることができないまま、生存している人もいる。ただ、長くても1日以内に発見できなければ、夏は熱中症が命取りになり、冬は体が冷え、肺炎になる。死亡まで至らなくても、要介護度が重くなってしまう。
どうすれば孤独死を防げるのか。 「それは生存確認を目的にした『見守り』の徹底です」 最期まで一人暮らしを望む高齢者もいる一方で、経済的な理由から一人暮らししか選択肢がない人も少なくない。 「ヘルパーはどちらであっても支えます。でもヘルパーが足りない。だから見守りの役割は到底担えません」 その役割を担うのは、自治体だとAさんは考える。ICTを活用することで、一定の年齢に達した全高齢者の生存を1日1回確認できれば。「それができれば、孤独死はかなり防げるはずです」